家族計画

家族計画

家族計画とは、各家庭がいつ、どれだけ子供を持つかという計画のことです。

概説

1950年代以降、アジアを中心に食糧不足や資源不足、貧困などの問題が生じ、その原因として人口の急激な増加が指摘されるようになりました。特に所得水準が低い国では、子供が家計の収入源として重要であり、社会保障制度も整っていないため、親は子供に老後の生活を期待する傾向があり、出生率が高くなる傾向にありました。

発展途上国で人口爆発が起こると、農業生産が追いつかず、一人当たりの所得水準が低下し、貧困から抜け出せない状況に陥ります。そこで、総合的な人口政策として家族計画が導入されるようになりました。

しかし、多くの発展途上国では、出生率の数値目標を達成するために、強制的な人口政策がとられたため、人々の反発を買い、具体的な成果を上げることができませんでした。また、諸問題の根源がすべて人口増加にあるわけではなく、富の再分配の不平等や社会福祉政策の不備が、結果として人口増加につながっているという指摘もされるようになりました。

1994年にカイロで開かれた国際人口開発会議では、統計優先の国家人口政策というマクロの視点から、個々の健康や生活というミクロの視点へ重点を移すべきであるとされました。

各国の政策

日本

戦中は「産めよ殖やせよ」が奨励されましたが、戦後は人口爆発への懸念から産児制限が唱えられるようになりました。その結果、戦後10年ほどで合計特殊出生率が4を超えていたものが2を下回るまで急落しました。

1958年度の『厚生白書』では、家族計画は単なる子減らしではなく、健康で文化的な生活を営むために、各家庭が自主的に家族構成を考えることが必要であると定義されています。つまり、産児制限の中で、各家庭が自主的、計画的に行う側面を強調しています。

その後、しばらくは合計特殊出生率が2付近で推移していましたが、1970年代以降は緩やかに下落していき、1989年の「1.57ショック」以降は少子化が問題視されるようになりました。

中国

中国では、1979年から一人っ子政策を導入し、強制的な人口抑制が図られました。しかし、男女比の不均衡、無戸籍児の増加、将来の急激な少子高齢化が新たな問題となっています。

インド

インドでは1970年代に出生率の数値目標を定めた強制的な人口抑止政策がとられましたが、人々の反発を買い中止され、家族計画を中心とする政策に移行しました。

脚注

社団法人 日本家族計画協会

関連項目

避妊
人工妊娠中絶
出生力
人口

もう一度検索