奉先寺

奉先寺：龍門石窟最大の寺院

奉先寺は、中国河南省洛陽市郊外に位置する龍門石窟の中でも最大規模を誇る寺院です。その中心となるのは、巨大な盧舎那仏坐像であり、見る者を圧倒する迫力があります。

歴史

寺院の歴史は古く、唐代に遡ります。本尊である盧舎那仏坐像の仏座の北側には、「河洛上都龍門之陽大盧舎那像龕記」という碑文が刻まれており、それによれば、この大仏龕は高宗の時代に創建されたとされています。具体的には、咸亨3年（672年）に、当時の皇后であった武氏（後の則天武后）が自身の化粧料である脂粉銭20,000貫を寄進し、上元2年（675年）に完成したと伝えられています。その後、調露元年（679年）には、勅命により大像龕の南側に大奉先寺が建立され、翌年の正月に高宗自らが寺額を書しました。

盧舎那仏坐像

盧舎那仏坐像は、肉髻から仏座までの高さが17.14メートル、向背を含めると約20メートルにも及ぶ巨大なものです。仏龕の東西の深さは38.7メートル、南北の広さは33.5メートルにもなり、そのスケールの大きさに圧倒されます。

この盧舎那仏の面貌は、則天武后の容貌を模して造られたという説があり、歴史的にも興味深い点です。また、造営の責任者は、中国浄土教の祖の一人である善導であったとされています。

文化的重要性

奉先寺は、仏教美術の傑作であるとともに、唐代の文化や信仰を今に伝える貴重な遺産です。則天武后という歴史上の人物との関連や、浄土教との繋がりなど、様々な側面から研究されており、その歴史的・文化的価値は計り知れません。

龍門石窟を訪れる際には、ぜひ奉先寺に足を運び、その壮大さと歴史の重みを感じてみてください。盧舎那仏坐像の前に立つと、言葉では言い表せない感動を覚えることでしょう。

奉先寺は、単なる観光名所ではなく、中国の歴史と文化を深く理解するための重要な場所です。その美しい彫刻と壮大なスケールは、訪れる人々に忘れられない印象を与えるでしょう。

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