奉加帳

奉加帳（ほうがちょう）とは

奉加帳とは、寺院や神社の建立・修繕、経典の刊行などの事業（勧進）に対して、金品などの寄進（奉加）を行った人物の名前、品目、数量などを記録した帳簿のことです。寄進帳（きしんちょう）とも呼ばれます。元々は、勧進の目的などを記した勧進帳の末尾などに寄進者の情報が記録されていましたが、平安時代末期から鎌倉時代にかけて、勧進活動が活発になるにつれて、勧進帳とは別に奉加帳が作成されるようになりました。これにより、寄進者の氏名、寄進内容の詳細、さらには寄進者の願い事などが記録されるようになり、独自の帳簿としての性格を強めていきました。

歴史

奉加帳は、勧進活動の発展とともに、その役割を変えてきました。当初は、勧進帳の一部として寄進者に関する情報を記録する程度の役割でしたが、平安時代末期から鎌倉時代にかけて、独立した帳簿として作成されるようになりました。この変化は、寺社への寄進がより盛んになり、多くの人々が勧進事業に関わるようになったことを示しています。奉加帳には、寄進者の氏名だけでなく、寄進された品物の種類や数量、さらには寄進者の願い事まで詳細に記録されるようになり、単なる記録帳簿以上の意味を持つようになりました。

近世に入ると、寺社の勧進だけでなく、一般の行事における寄付の際にも奉加帳が作成されるようになりました。この変化は、奉加帳がより広く社会に普及し、寄付行為を記録する一般的な手段として定着したことを示しています。奉加帳は、寄付の記録という実用的な側面だけでなく、人々の信仰心や社会的なつながりを表す資料としても重要です。

奉加帳の形式

奉加帳は、通常、縦長の和紙や帳面に、筆で寄進者の氏名、住所、寄進した品目、数量、金額などが記載されます。多くの場合、寄進者の氏名の上には、「御」や「様」などの敬称が付けられ、丁寧な書体で記録されます。また、寄進者の願い事や、寄進に対する感謝の言葉などが書き加えられることもあります。奉加帳は、寺社にとって重要な記録であり、後世に伝えるべき貴重な史料として大切に保管されてきました。

現代における奉加帳

現代では、奉加帳は、寺社への寄進だけでなく、様々な分野での寄付の記録にも使われています。例えば、災害復興支援や文化財保護などのための寄付金を集める際にも、奉加帳が用いられることがあります。また、インターネット上でのクラウドファンディングなどでも、寄付者の名前を記録するリストが奉加帳の役割を果たすことがあります。現代社会においても、奉加帳は、人々の善意と社会的なつながりを可視化する重要なツールとして、その役割を果たし続けています。

関連項目

寄付
奉加帳方式

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