奥園国義

奥園國義の生涯と剣道の業績

奥園國義（おくぞのくによし）は、1925年に鹿児島県薩摩郡樋脇村に生まれました。七人兄弟の三男として育った彼は、小学校の頃から剣道を始め、以降その世界にのめり込みます。剣道は彼の人生において重要な役割を果たし、彼の成長とともにさまざまな経験を与えてくれました。

1947年に大阪府警察に奉職すると、剣道正式復活後の特練員として活動を開始。懸命な稽古の成果が実を結び、第13回明治村剣道大会での優勝を果たします。彼の剣道の技術は瞬く間に知られるようになり、その後も剣道界での様々な役職を歴任しました。特に、近畿管区警察学校の教授や全日本剣道連盟の副会長としての役割は、彼の指導者としての手腕を発揮する機会となりました。

また、桃山学院大学剣道部の師範として学生たちに剣道の魅力を伝えるとともに、大阪星光学院の講師としても若い世代の育成に寄与しました。彼の指導に受けた多くの弟子たちは、奥園の教えを受け継ぎ、剣道界における新たな期待の光となっています。

戦争と特攻隊

戦争勃発時、奥園は18歳で土浦の海軍航空隊に志願し、飛行機操縦の教官として受け入れられました。滋賀県比叡山に配属された彼は、航空隊内で行われる武道大会に参加し、初段の段位を持ちながらも個人戦で準優勝を果たしました。この戦績が彼の名声を高め、飛行科の隊長も彼に興味を持っていました。

その後、南方戦線の悪化を知った彼は、特攻隊への編入を望みましたが、当初その想いを聞いた隊長は渋い表情を浮かべました。しかし、「俺に任せろ」と一言彼を納得させ、奥園の運命は運ばれていきました。昭和19年、彼は特攻隊要員として神雷特別攻撃隊に編入され、幻の特攻基地と呼ばれる比叡山の宿坊で待機しました。

彼が乗る特攻機は「桜花」と命名された人間爆弾で、片道分の燃料しか搭載されていない非常に厳しい任務でした。このような厳しい状況下でも、奥園は常に剣道家としての誇りを持ち、仲間たちと支え合って困難に立ち向かいました。

その後の業績

戦後、奥園は剣道の復興に尽力し、2003年にはイギリスで開催された世界剣道選手権大会で審判長を務める栄誉に預かりました。また、この大会前にエリザベス女王に謁見し、貴重な握手を交わす機会も得ました。2007年には日本武道協議会から武道功労者として表彰されるなど、その功績は評価され続けています。

奥園國義の人生は剣道だけではなく、その背後には戦時中の厳しい体験もありました。彼の強さや知恵、そして剣道を愛する心は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。2013年に他界するまで、彼は剣道の普及と発展に寄与し続けたのです。

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