奥山真司 (戦略学者)

奥山真司

奥山真司（1972年9月5日生まれ）は、日本の著名な地政学者、戦略学者です。国際地政学研究所の上席研究員であり、戦略研究学会の編集委員も務めています。彼は、戦後の日本において批判的に扱われてきた地政学や戦略学を、現代的な視点から紹介したことで広く知られています。

略歴

横浜市出身の奥山氏は、幼少期に父親の転勤でカタールに1年間滞在しました。横須賀市立横須賀高等学校を卒業後、音楽の専門学校に進学しミュージシャンを目指しましたが、後にその道を断念。その後、カナダのカレッジに留学し、ブリティッシュコロンビア大学に編入。そこで地政学の授業に魅了され、研究を深めるためイギリスに渡りました。地理学科と哲学科を卒業後、レディング大学大学院で修士号と博士号を取得。コリン・グレイに師事しました。

国際地政学研究所上級研究員、戦略研究学会理事・企画委員、日本クラウゼヴィッツ学会理事、副会長代理などの要職を歴任しています。また、コリン・グレイとエドワード・ルトワックを人生の師と仰いでいます。

社会活動

奥山氏は、2019年4月から戦略研究学会の企画委員を務めています。青山学院大学、東京大学大学院、自衛隊幹部学校、防衛研究所などで講師を務めるなど、教育・研究活動にも積極的に参加しています。幸福の科学のセミナー動画に出演したこともあります。

ニコニコ動画やYouTubeでは、株式会社オンザボードの和田憲治社長と共に、毎週火曜日に「奥山真司のアメリカ通信」を配信。地政学、リアリズム、プロパガンダの視点から、欧米の英字新聞、雑誌、ニュースを分析し、欧米各国の首脳、政治家、軍人の思考方法や戦略的思考を紹介しています。また、『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』の翻訳後は、欧米の政治・軍事関係者による対中政策に関する解説も行っています。日本国内においては、沖縄へのサイレントインベージョンや、琉球独立派のロバート・カジワラについても言及しています。

著作

奥山氏は、多数の著書・訳書を出版しています。

著書

『地政学――アメリカの世界戦略地図』（五月書房、2004年）
『“悪の論理”で世界は動く! 地政学――日本属国化を狙う中国、捨てる米国』（フォレスト出版、2010年）
『世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう』（フォレスト出版、2012年）
監修『地政学 (サクッとわかるビジネス教養) 』（新星出版社、2020年）
月刊Hanada編集部『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』（飛鳥新社、2021年）

訳書

ジョン・ミアシャイマー『大国政治の悲劇――米中は必ず衝突する!』（五月書房、2007年）
J.C.ワイリー『戦略論の原点――軍事戦略入門』（芙蓉書房出版、2007年）
スティーヴン・ウォルト『米国世界戦略の核心――世界は「アメリカン・パワー」を制御できるか?』（五月書房、2008年）
ニコラス・スパイクマン『平和の地政学――アメリカ世界戦略の原点』（芙蓉書房出版、2008年）
コリン・グレイ、ジェフリー・スローン編『進化する地政学――陸、海、空そして宇宙へ　戦略と地政学1』（五月書房、2009年）
コリン・グレイ、ジェフリー・スローン編『胎動する地政学――英、米、独そしてロシアへ　戦略と地政学2』（五月書房、2010年）
コリン・グレイ『戦略の格――戦略家のための40の議論』（芙蓉書房出版、2009年）
クリストファー・レイン『幻想の平和 花火――1940年から現在までのアメリカの大戦略』（五月書房、2011年）
ジョン・J・ミアシャイマー『なぜリーダーはウソをつくのか 国際政治で使われる5つの「戦略的なウソ」』（五月書房、2012年）
ロバート・カプラン『インド洋圏が、世界を動かす――モンスーンが結ぶ躍進国家群はどこへ向かうのか』（インターシフト、2012年）
ロバート・カプラン『中国海洋覇権の野望』（講談社、2014年）
コリン・グレイ『現代の戦略』（中央公論新社、2015年）
エドワード・ルトワック『中国4.0―暴発する中華帝国』（文春新書、2016年）
ベアトリス・ホイザー『クラウゼヴィッツの「正しい読み方」―『戦争論』入門』（芙蓉書房出版、2017年）
エドワード・ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』（文春新書、2017年）
デレク・ユアン『真説 孫子』（中央公論新社、2018年）
エドワード・ルトワック『日本4.0―国家戦略の新しいリアル』（文春新書、2018年）
クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略―中国のオーストラリア支配計画』（飛鳥新社、2020年）
エドワード・ルトワック『ラストエンペラー 習近平』（文春新書、2021年）
ローレンス・フリードマン『戦争の未来―人類はいつも「次の戦争」を予測する』（中央公論新社、2021年）
クリストファー・コーカー『戦争はなくせるか？』（勁草書房、2022年）
ハル・ブランズ／マイケル・ベックリー『デンジャー・ゾーン　迫る中国との衝突』（飛鳥新社、2023年）
アレックス・ジョスキ 『スパイと嘘　世界を欺いた中国最大の秘密工作』(飛鳥新社、2024年)
エルブリッジ・コルビー 『アジア・ファースト　新・アメリカの軍事戦略』(文春新書、2024年)

監訳

エドワード・ルトワック『自滅する中国――なぜ世界帝国になれないのか』（芙蓉書房出版、2013年）
ウィリアム・ストラウス／ニール・ハウ『フォース・ターニング』（ビジネス社、2017年）
エドワード・ルトワック『ルトワックの“クーデター入門"』（芙蓉書房出版、2018年）
ヤクブ・グリギエル／ウェス・ミッチェル『不穏なフロンティアの大戦略』（中央公論新社、2019年）
クライブ・ハミルトン『見えない手――中国共産党は世界をどう作り変えるか』（飛鳥新社、2020年）
マイケル・ハワード『クラウゼヴィッツ 『戦争論』の思想』(勁草書房、2021年)
ローリー・メドカーフ『インド太平洋戦略の地政学　中国はなぜ覇権をとれないのか』(芙蓉書房出版、2022年)




奥山氏の活動は、地政学、戦略学の分野において、日本における国際情勢の理解を深める上で重要な役割を果たしています。

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