奥村勝蔵

奥村勝蔵の生涯と外交業務

奥村勝蔵（おくむら かつぞう）は、1903年8月7日に岡山県岡山市で生まれ、1975年9月26日に亡くなった昭和期の外交官です。彼は東京帝国大学法科を卒業後、1926年に外務省に入省し、数々の重要な役割を果たしました。

出発点と外交官としての台頭

奥村は天王寺中学と第三高等学校を経て、東京帝国大学で法学を学びました。外務省に入った彼は、外交の世界でそのキャリアを築いてきました。特に注目すべきは、彼が1941年12月8日、アメリカ合衆国ワシントン大使館で一等書記官として従事していたときのことです。この日は太平洋戦争が勃発した歴史的な日であり、彼にとって試練の時となりました。

太平洋戦争と外交交渉

太平洋戦争の開始に際し、奥村は日米交渉打ち切りの文書を作成する役割を担いました。彼はタイプライターを使い、この緊急文書の作成に苦慮しました。結果的に、日本政府がアメリカのコーデル・ハル国務長官に交渉打ち切りの文書を渡したのは、元々の予定時刻から遅れた午後2時20分でした。実際には、真珠湾攻撃が既に始まっており、これが日本の宣伝戦略に問題をもたらしたとされています。

この遅れは、外務省と大使館のコミュニケーション不足が原因とされ、奥村はその責任を大いに問われることになりました。

終戦後の役割と通訳

終戦後の1945年9月27日、奥村は昭和天皇とダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官との初会見において、日本側の通訳を担当しました。この役割は彼の外交キャリアの中でも特に重要であったと言えます。また、1947年には再び昭和天皇の通訳を務める機会がありましたが、その際に発言が報道機関に漏洩してしまい、外務省情報部長の職を懲戒免官されるという厳しい処分を受けました。しかし、その後漏洩の責任が他の人物にあったことが判明し、彼は職に復帰することができました。

外務事務次官とスイス大使

1952年には外務事務次官に任命され、1955年までその職にありました。その後、スイス大使に就任し、1960年まで務めました。彼はこれらの職務を通じて、日本の外交関係に大きな影響を与えました。

最晩年の思い

奥村は1975年9月26日に亡くなる直前、会見内容漏洩の件について昭和天皇に自身の正当性を示すよう申し出ました。これに対し、昭和天皇は、彼に対する非難が不当であると考えていたことを示す発言を行いました。実際、昭和天皇は「奥村には全然罪はない」と強調し、彼の立場を弁護しました。

奥村勝蔵の一生は、戦争や外交の激動の中で数多くの重要な瞬間に関与したことで、後世に影響を与える存在となりました。その活動と思いは、現代の日本の外交においても引き継がれています。

もう一度検索