日米交渉

日米交渉の概要

日米交渉（にちべいこうしょう）は、1941年4月から11月にかけて行われた、日本政府とアメリカ合衆国政府との間の外交交渉である。この交渉の主な目的は、日中戦争における日本の行動に関連する諸問題の調整や、日米間の経済関係の正常化を図ることであった。しかし最終的には、これらの試みは太平洋戦争の開戦へとつながっていくこととなる。

交渉の背景

1940年に福岡市で行われた日独伊三国同盟の締結を受け、日米関係は極めて悪化した。アメリカ側は、日本が中国大陸で進めている軍事行動や、北部仏印に進駐している姿勢に強く不満を表明し、経済制裁を加えた。また、アメリカにとっては太平洋方面での日本との対立を避けることが急務でした。こうした状況の中、両国は民間の動きを背景に交渉を開始し、何とか関係改善を目指すこととなった。

交渉の経緯

1941年の春、野村吉三郎駐アメリカ大使とコーデル・ハル国務長官との間で交渉が開始された。交渉では、主に日本陸軍の中国からの撤退条件として、満州国の承認や日米通商関係の正常化が議論されました。しかし、松岡洋右外務大臣が日ソ中立条約締結の影響で、日本の対中政策の全面承認を主張したため、交渉は深刻な行き詰まりを見せました。

この後の1941年7月28日、日本軍は南部仏印に進駐し、アメリカはこれに対して石油禁輸措置などの経済制裁を実施しました。これを受け、交渉は再開されるも、近衛文麿内閣総理大臣とフランクリン・ルーズベルト大統領による首脳会談の要請はハル国務長官の反対で立ち消えとなりました。

その後ハル国務長官は、全面協定案と暫定協定案を日本に提示することを進め、最終的に交渉は1941年11月26日に「ハル・ノート」が日本側に手渡されることとなります。この時点で交渉は再度決裂し、同年1[[2月]]8日には真珠湾攻撃によって太平洋戦争が始まることになります。

交渉の影響

日米交渉は、日本とアメリカの関係の悪化を決定づけた重要な出来事であり、特に「ハル・ノート」は日本側にとって受け入れがたい条件が含まれていました。これにより日本政府は開戦の決断を迫られることになり、結果的に太平洋戦争へと突入する原因となります。交渉の結果、日米の相互不信が高まり、戦争回避のチャンスは失われていくこととなりました。

このように、日米交渉は太平洋戦争の前史を語る上で重要な要素であり、その経緯や困難さは今日においても多くの教訓を伝えています。

もう一度検索