奥脇三雄

奥脇三雄：少年ジャンプ黄金期を支えた編集者、そして漫画のキャラクターへ

奥脇三雄氏は、日本の漫画史に大きな足跡を残した人物の一人です。集英社において、週刊少年ジャンプ編集者として活躍した後、販売部門の要職を歴任しました。その経歴は、単なる編集者という枠を超え、漫画業界の隆盛に貢献した多様な経験に彩られています。

週刊少年ジャンプ編集者としての活躍

早稲田大学卒業後、1972年に集英社に入社。週刊少年ジャンプ編集部に配属され、コンタロウ、江口寿史、諸星大二郎ら、後に人気漫画家となる才能豊かな作家たちの担当編集者として活躍しました。彼らが才能を開花させる過程を間近で支え、日本の漫画界を牽引する作品を生み出すことに貢献したのです。持ち前の編集者としての才能と情熱で、多くのヒット作を世に送り出しました。

販売部門における手腕

その後、販売管理部門へ異動。コミック販売部部長、雑誌販売部部長などを歴任し、編集者としての経験を生かし、販売戦略にも手腕を発揮しました。2003年には、書籍販売店におけるポイントカードの不正利用問題に対し、雑誌販売部部長として警告を発するなど、業界の健全な発展に尽力しました。さらに、ICタグ研究委員会の委員長として、書籍の万引き防止対策にも積極的に取り組みました。

集英社取締役から集英社サービス常務取締役へ

2004年には集英社取締役に昇進。その後、2009年には集英社子会社である集英社サービスの常務取締役に就任しました。編集者から経営者へと役割を変えながらも、常に漫画業界の発展に貢献し続けました。

漫画作品への登場：現実とフィクションの交錯

奥脇氏自身のユニークな点は、担当した漫画家たちの作品に、本人またはモデルとなったキャラクターとして登場していることです。これは、漫画家たちとの深い信頼関係と親密さを物語っています。

例えば、コンタロウの漫画作品には、一般人や漫画編集者として登場しています。新沢基栄の『3年奇面組』および『ハイスクール!奇面組』では、色男組の担任教師である色音好のモデルとして描かれています。興味深いのは、新沢氏と面識がなかったにもかかわらず、モデルとして登場している点です。新沢氏によると、当時のギャグ漫画によく登場していた奥脇氏をモデルにしたとのこと。このエピソードは、奥脇氏が漫画業界においていかに存在感のある人物であったかを示しています。さらに『3年奇面組』では、自身をモデルにしたキャラクターの設定に怒り、手のみ出演する場面もありました。

江口寿史の『ストップ!!ひばりくん!』では、江口氏の担当編集者として直接登場。締切を守れない江口氏に苦言を呈したり、暴力を振るう場面もあったとされています。この作品における奥脇氏の描写は、当時の漫画業界の厳しい現実と、編集者たちの苦悩を垣間見せてくれます。最終話では、過労と精神的ショックで死去したという設定で描かれています。

まとめ：漫画業界への多大な貢献

奥脇三雄氏のキャリアは、編集者としての才能、販売部門における手腕、そして漫画作品へのユニークな登場と、多様な側面を見せています。単なる編集者という枠を超え、漫画業界の発展に多大な貢献を果たした人物と言えるでしょう。彼の経験と功績は、日本の漫画史において重要な位置を占めているのです。数々のスター漫画家を世に送り出し、販売面でも大きな功績を残した奥脇氏の物語は、日本の漫画業界の繁栄を支えた裏側の一端を垣間見せてくれます。彼の名前は、これからも多くの漫画ファンに語り継がれることでしょう。

もう一度検索