奥野匡

奥野匡（おくのただし）は、1928年1月10日生まれの日本の俳優である。東京都出身。身長166cm、血液型はA型。希楽星所属。本名は奥野滋。

文学座、劇団NLT、プロダクション・エムスリーと、複数の劇団やプロダクションに所属した後、長年にわたり数多くの作品で脇役として活躍してきた。特に特撮作品では、博士役を演じる機会が多く、その存在感は視聴者に深い印象を与えている。

奥野匡のキャリアは、テレビドラマから映画、舞台まで多岐にわたる。NHKの大河ドラマをはじめ、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京など、多くの民放局制作のドラマに出演。時代劇から現代劇まで、幅広いジャンルの作品で、その演技力を発揮してきた。その出演作は膨大で、代表的な作品としては、『赤穂浪士』『竜馬がゆく』『国盗り物語』『勝海舟』『太陽にほえろ！』『Gメン'75』『水戸黄門』『大岡越前』など、国民的な人気を博した作品が多く挙げられる。

数々の作品で培った演技力は高く評価されており、老練な演技で視聴者を魅了してきた。特に、渋みのある演技は、物語に深みと重厚感を与えている。

しかし、奥野匡の経歴で特筆すべきは、84歳という高齢で映画初主演を果たしたことである。2012年、是枝裕和監督作品『ライク・サムワン・イン・ラブ』で主演を務めた。この作品は、第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品として、世界的に高い評価を得た。カンヌ国際映画祭への参加は、奥野匡にとって人生初の海外旅行でもあったという。レッドカーペットを歩いた経験や、80歳を過ぎてこのような大きな舞台に立つことができたことに対する驚きと喜びを、本人は語っている。受賞には至らなかったものの、この経験は、奥野匡の俳優人生における大きな転換点となったことは間違いない。

近年も精力的に活動を続け、『繕い裁つ人』『空人』などに出演。2024年には『すべての夜を思いだす』での主演が控えている。

奥野匡の俳優人生は、脇役としての長年の経験と、晩年の華々しい活躍が印象的である。数多くの作品に出演し、視聴者に深い印象を与え続けてきたベテラン俳優として、日本のドラマ史に大きな足跡を残したと言えるだろう。その演技力は、これからも多くの人々に感動を与え続けるに違いない。

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