女流育成会

女流育成会とは

女流育成会（じょりゅういくせいかい）は、日本将棋連盟がかつて設立した、女流棋士育成を目的とした機関です。1984年に創設され、2009年3月までの約25年間にわたり存在しました。この期間中、数回の制度変更があり、最終的には研修会にその役割を引き継ぎました。

背景

女流棋士制度は1974年に発足し、アマチュア棋戦で活躍した女性たちがプロ棋士への道を開かれましたが、より質の高い女流棋界を形成するためには、優れた女流棋士を育成する必要があると認識されました。これにより、1984年4月に女流育成会が設立されました。設立当初の参加者には、女流アマ名人戦優勝者の清水市代や高群佐知子など、計9名の女性棋士が名を連ねました。

入会とシステム

女流育成会に入会できるのは29歳以下の女性で、師匠として正会員の棋士または一定の条件を満たす女流棋士が必要です。基本的な運営は、参加者同士がリーグ戦を行い、成績上位の棋士が昇級する形式でした。入会者数は2000年以降減少し、数名が在籍する状態が続き、若手棋士がタイトル戦線に絡むのが難しくなるなどの課題が生じていました。これを受け、2008年度末には女流育成会が廃止され、男女混合の研修会に移行されました。

制度の変遷

女流育成会はその運営方法が数回変更されており、初期には春に行う1回限りのリーグ戦で、各参加者が3回対局し、その成績に基づいて昇級が決まる仕組みでした。1989年度までは、上位2名が女流3級に昇級し、次年度の女流名人戦Bリーグや女流王将戦Bリーグに参加できる与えられる仕組みでした。

1990年以降、制度が改正され、女流3級が廃止されると女流2級が正式な女流棋士として認定される流れとなりました。92年度からはリーグ戦の回数が増え、さらに1996年からは、新会員がBクラスからスタートして勝ち星により昇級を目指す形式になりました。

2003年度から2008年度には、新たに統一されたクラスで全員が対戦し、勝ち星によって昇級点を獲得するシステムへと移行。昇級点の獲得者の中から新しい女流棋士が誕生しましたが、30歳になると新たな期に参加できなくなる規定もありました。

廃止と研修会への移行

2009年3月、女流育成会はその役割を終了し、研修会へと改編されました。新たに設けられた「女流棋士仮会員」という資格が設立され、厳格な成績基準を持つ者だけが正式な女流棋士となることが求められました。この「女流3級」制度も2018年には廃止され、女流棋士養成のプロセスが見直され続けています。

備考

女流育成会からデビューした棋士や、研修会を経て女流棋士となった者も存在し、彼女たちの活躍は女流棋士界に大きな影響を与えてきました。また、漫画「将棋の渡辺くん」を手がけた伊奈めぐみは、女流育成会での経験を持ち、その将棋界への貢献を示しています。女流育成会が推進した女流棋士の育成は、現在の将棋界においても重要な役割を果たしています。

このように、女流育成会は将棋界における女性棋士の育成に寄与した重要な機関であり、その歴史は今後も語り継がれていくことでしょう。

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