女王蜂 (横溝正史)

女王蜂

『女王蜂』（じょおうばち）は、推理小説の巨匠・横溝正史の長編作品で、「金田一耕助シリーズ」に属します。この作品は1951年から1952年にかけて雑誌『キング』で連載され、出版は1952年に講談社から行われました。その後、映像化作品も多数制作されるなど、広く知られています。

物語の背景

1951年5月、伊豆の月琴島に住む大道寺智子は、生まれ育った島から東京に引き取られることとなります。智子は、18歳になる誕生日を目前に控えており、急な環境の変化と不安を抱えていました。それをさらに不吉にするかのように、彼女は別館の開かずの間で血の付いた月琴を見つけてしまいます。この事件が悲劇的な展開をもたらすことに、彼女は気づいていませんでした。

東京では、智子を迎えに来た九十九龍馬と私立探偵の金田一耕助が、過去の惨劇に関する警告の手紙を受け取ります。19年前に発生した島での事件の再調査が求められる中、智子は新たな環境と過去の因縁が交錯する運命に巻き込まれていきます。

あらすじ

智子は、大道寺欣造のもとに向かう途中、直前に訪れた月琴島での出来事が影を落とします。19年前、彼女の母である大道寺琴絵が若い男・日下部達哉と深い関係にありましたが、日下部は不慮の事故で亡くなってしまいます。この事件は後に、欣造が抱える秘密や智子の出生にまつわる真実に繋がっていきます。

ホテル・松籟荘に着いた智子は、欣造とその愛人である蔦代、またその間の子供である文彦とともに過ごします。なぜか彼女のもとには、花婿候補の若者たちが集まり、その中の一人である遊佐三郎が時計室で無惨に殺される事態が発生します。その後も連続する死の影は、智子や周囲の人物に不安をもたらし、ますます物語は複雑に絡み合っていきます。

事件の核心に迫ろうとする金田一は、過去の悲劇とつながる手がかりを追い求め、さまざまなキャラクターとの接触を通じで事件の真相に辿り着こうと奮闘します。彼は智子を守るため、この隠された秘密を暴くことを決意するのです。

登場人物

• - 金田一耕助: 主人公である探偵。
• - 大道寺智子: 重要な謎を抱える絶世の美女。
• - 大道寺欣造: 智子の義父で、過去に秘密を抱える人物。
• - 遊佐三郎: 智子の花婿候補の一人で、悲劇の犠牲者。

『女王蜂』は、数十年を超える長い時を経てもなお、人々の心を惹きつける作品です。緻密に織り込まれたストーリーラインや、魅力的なキャラクターたちによって、読者は深い心理描写とサスペンスに満ちた旅に引き込まれていきます。これらの要素によって、多くの映像作品に繋がる人気の原作となりました。

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