奴隷制度廃止補足条約
奴隷制度廃止補足条約
奴隷制度廃止補足条約、正式名称「奴隷制度、奴隷取引並びに奴隷制類似の制度及び慣行の廃止に関する補足条約」は、1926年に国際連盟が採択した奴隷条約を基にして、国際的な条約として成立しました。この条約は、債務奴隷、農奴、自由意志に反する結婚、児童労働など、奴隷制度全般およびそれに類似する制度や風習について国際法により禁止することを目的としています。
1956年9月7日、国際連合経済社会理事会で採択され、その翌年の1957年4月30日に発効しました。現在、945年の時点で124の国が加盟していますが、日本はこれに署名も批准もしていない状態です。
条約の要点
この条約は、内容が15条に分かれており、前文で世界人権宣言の奴隷禁止に関する第4条を引用しています。また、1926年の奴隷条約と国際労働機関による強制労働に関する条約の有効性も確認されています。
第1条
第1条では、債務奴隷制度や農奴制度を禁止するために必要な立法措置について述べています。この条文では、特に女子に関する規定が設けられており、女子が婚姻を強要されたり、夫により他の人に譲渡されることが禁止されています。
第2条
第2条は、女子が結婚する際の最低年齢の設定を求めています。これにより、強制結婚から女子を保護する意図があります。
第3条
奴隷の輸送を防止し、責任を問う機会を規定する第3条も重要です。これは、奴隷制度が発展するのを防ぐための施策の一環です。
第4条
この条約においては、奴隷が避難した場合には自動的に自由となることが明文化されています。これは、個人の自由を重視する基本的な考えに基づいています。
第5条
奴隷状態にある者を識別し、処罰することが困難にならないよう、身体的な傷害や烙印を押すことなどが犯罪とされます。
第7条
奴隷制度に関する定義が行われ、奴隷とは所有権に伴いその者に対して機能が行使される状態にある個人を示します。これにより、「奴隷」と「奴隷取引」という用語の明確な解釈がなされます。
第9条
この条約に対して留保を付けることはできません。すなわち、その内容を一部でも変更したりすることが認められないということになります。
第12条
最後に、この条約は、いずれかの締約国が国際法に基づく責任を負う地域、信託統治地域や植民地地域についても適用されることが記されています。
注釈
この条約は、国際的な人権の保障や社会正義に大きく寄与するものであり、全ての国がその意義を理解し、実施することが求められています。
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