妖獣都市

『妖獣都市』

概要

『妖獣都市』（ようじゅうとし）は、著者菊地秀行による小説で、徳間書店から刊行され、同作品を基にしたアニメ映画や実写映画も存在します。特に、アニメ映画版は原作者が原作イメージに忠実であると認めた唯一の作品です。この作品は「闇ガード」シリーズの第一作目に位置づけられています。

シリーズ情報

『妖獣都市』は、複数の版で出版されています。最初は1985年7月にトクマ・ノベルズ版が登場し、その後1988年には徳間文庫版が、1999年には双葉社からも改訂版が出ました。続編として、1986年から1988年にかけて『妖獣都市 〈２〉』と『妖獣都市 〈３〉』も刊行され、さらに『凶戦鬼 妖獣都市異伝』や『ニューヨーク魔界戦』といった関連作品も続きました。

ストーリー

物語は、人間界と魔界の安全を守る役割を担う「闇ガード」に焦点を当てています。主人公の滝蓮三郎は人間界の闇ガードとして活動し、魔界側の闇ガード・麻紀絵と共に、魔界の過激派による調印妨害を阻止するために奮闘します。この二人は、イタリアの大魔道士ジュゼッペ・マイヤートの護衛任務を受け、敵との熾烈な戦いに巻き込まれます。物語は、彼らが屈強な敵と戦う姿や、過激派による陰謀に直面しながら成長していく過程を描いています。

アニメ映画版

1987年に公開されたアニメ映画『妖獣都市』は、海外では「Wicked City」として知られています。これはオリジナルビデオアニメ（OVA）として制作され、公開当日に映像ソフトが発表された珍しい事例です。この作品は多くの英語吹替版を持ち、音楽は東海林修が担当しています。特に評価されている点は、大人向けの設定と描写で、それまでのアニメ作品とは異なる新たなスタイルを確立しました。

登場人物

• - 滝 蓮三郎：人間界の闇ガードで25歳。普段は電機メーカーのサラリーマンで、プレイボーイとしての一面も持つ。
• - 麻紀絵：魔界側の闇ガードで、モデルとして活動しているが、完璧すぎる美貌ゆえに無名。強力なサイキックパワーを持つ。
• - ジュゼッペ・マイヤート：人間と魔界の休戦条約の重要人物であり、皮肉屋ながらも愛嬌のあるキャラクター。

制作背景

アニメ版の制作を手掛けたマッドハウスの監督・川尻善昭は、今までになかった大人向けのアニメを目指しており、物語展開のために色使いにもこだわりました。特に冷たさを感じさせる青色を基調にした表現は、作品全体に独特の雰囲気を与えています。

評価

アニメ研究家の氷川竜介は、本作について「大人向けのエロスとバイオレンスを繊細に描いた画期的な作品」と評価しています。また、キャラクターのデザインやストーリー展開についても高い評価を得ています。

実写版

1992年には『妖獣都市 〜香港魔界篇〜』として実写映画化され、香港の特有なアクション要素が取り入れられています。

この作品は、闇ガードとしての戦いと人間界・魔界の複雑な関係を描くことで、多くのファンを魅了しています。』

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