妙成寺

妙成寺について

妙成寺は、石川県羽咋市滝谷町に位置する日蓮宗の寺院で、山号を金栄山と称します。この寺は、日蓮の孫弟子にあたる日像によって開かれ、日蓮宗における北陸地方の本山としての役割を担い、能登地方随一の壮大な伽藍を誇ります。境内には、本堂、五重塔、祖師堂、経堂など、数多くの建物が国の重要文化財に指定されており、その歴史的、文化的価値の高さを示しています。

歴史

寺伝によれば、妙成寺の開基は永仁2年（1294年）に遡ります。日像が佐渡から七尾へ渡る際、船中で真言宗の僧侶であった満蔵法師と法論を行い、彼を改宗させ、日乗と名を改めさせました。日乗は日像と共に石動山で説法を行いますが、反発に遭い下山。その後、日乗の叔父にあたる柴原将監の庇護のもと、石動山の末寺であった滝谷寺を改宗し、「妙成寺」と改称しました。

近世に入ると、妙成寺は加賀藩前田家からの手厚い保護を受けるようになります。特に、三代藩主前田利常の母である寿福院の菩提寺として、七堂伽藍が整備されました。寛永8年（1631年）には、加賀藩の三カ国における日蓮宗の総録所（触頭）となり、その地位を確立しました。

現在の住職は71世の藤井日傳貫首で、東京都中央区にある身延別院から晋山しました。

文化財

妙成寺は、多くの文化財を有することで知られています。特に、以下の建造物は国の重要文化財に指定されています。

本堂：慶長9年（1604年）に建立されたもので、桁行五間、梁間五間、入母屋造、杮葺きです。棟梁は前田家御用大工の坂上又三郎が務めました。
五重塔：元和4年（1618年）建立で、方三間、栩葺きです。建仁寺流の大工である越前の坂上越後守嘉紹が施工しました。初層内部には、須弥壇に一塔両尊像が安置されています。
祖師堂：寛永元年（1624年）の建立と伝えられていますが、建築様式から安土桃山時代頃の建築と推測されています。方五間、単層入母屋造、杮葺きです。
経堂：寛文10年（1670年）に建てられ、桁行五間、梁間三間、一重寄棟造、棧瓦葺きです。
書院：万治2年（1659年）に建てられ、桁行七間、梁間七間、一重寄棟造、杮葺きです。
鐘楼：寛永2年（1625年）に建立されたとされ、桁行三間、梁間二間、袴腰付、入母屋造、杮葺きです。
三光堂：元和9年（1623年）建立と伝えられ、方五間、単層入母屋造、杮葺きです。
三十番神堂本殿：慶長19年（1614年）建立で、三間社流造、杮葺きです。
三十番神堂拝殿：元和2年（1616年）建立で、唐破風内琵琶板裏面に墨書があります。
二王門：寛永2年（1625年）建立の楼門で、三間一戸、二階建入母屋造、棧瓦葺きです。
庫裏：文禄2年（1593年）建立と伝わり、桁行九間、梁間五間、一重正面切妻造、杮葺き（棧瓦葺きを復元）です。妙成寺最古の建造物とされています。

これらの建造物以外にも、山水蒔絵机、山水蒔絵料紙箱などの美術工芸品も重要文化財に指定されています。また、境内には大槻伝蔵や寿福院の墓も存在します。

旧末寺

日蓮宗では、昭和16年に本末制度が解体されたため、現在では旧本山、旧末寺という形で寺院が呼ばれています。妙成寺の旧末寺としては、以下の寺院が挙げられます。

浄脩山玉寿寺（石川県羽咋市滝谷町）
護國山本覚寺（石川県羽咋市滝谷町）
光栄山善住寺（石川県羽咋市滝谷町）
長栄山大鏡寺（石川県羽咋市滝谷町）
金栄山円融寺（石川県羽咋市滝谷町）
正栄山妙行寺（台東区谷中）
神通山長清寺（富山市梅沢町）
法光山妙輪寺（富山県下新川郡朝日町泊）
妙運山法乗寺（南砺市城端町）
昌久山乗光寺（富山市中野新町）
教徳山妙円寺（金沢市山の上町）
精進山妙正寺（金沢市東山）
久栄山常福寺（金沢市東山）
妙法山蓮華寺（金沢市東山）
妙法山円光寺（金沢市東山）
弘法山三宝寺（金沢市東山）
妙運山真成寺（金沢市東山）
寿福山経王寺（金沢市小立野）
金昌山興徳寺（金沢市寺町）
華徳山蓮光寺（加賀市大聖寺下屋敷町）
妙林山行善寺（白山市北安田町）
長興山本成寺（羽咋市柴垣町）
本成寺末：浄修山本立寺（北海道利尻郡利尻富士町鴛泊字富士岬）
本成寺末：星場山法雲寺（南砺市坂本）
涌出山宝泉寺（羽咋市柴垣町）
宝昌山浄心寺（羽咋市柳田町）
本證山妙法寺（羽咋市太田町）
戒忍山護國寺（羽咋市旭町）
久栄山妙広寺（石川県羽咋郡志賀町堀松）
妙法山蓮華寺（羽咋市飯山町）
華開山成蓮寺（七尾市小島町）
実掌山浄覚寺（石川県鳳珠郡能登町鵜川）
法立山大乗寺（石川県鳳珠郡能登町宇出津）
法広山妙相寺（輪島市河井町）
妙法山成隆寺（輪島市別所谷町）
宝栄山妙法輪寺（石川県羽咋郡宝達志水町麦生）
立実山大蓮寺（石川県羽咋郡宝達志水町敷波）
常在山本土寺（石川県鹿島郡中能登町西馬場）
龍華山日澄寺（石川県鹿島郡中能登町石動山）

所在地・アクセス

住所：〒925-0002 石川県羽咋市滝谷町ヨ1
交通：JR七尾線 羽咋駅下車、北鉄能登バス 妙成寺口バス停下車後、徒歩10分

見学

開門時間：夏季:8時～17時、冬季:8時～16時30分
拝観料：大人500円、小人300円
* その他：2019年2月より、拝観料やお守りの購入などで一部のキャッシュレス決済に対応。駐車場は無料です。

妙成寺は、その壮大な伽藍と豊かな歴史、文化財の数々により、訪れる人々に深い感動と静寂をもたらします。能登を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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