妙福寺 (大田区)

妙福寺

妙福寺は、東京都大田区南千束に位置する日蓮宗の寺院です。身延山久遠寺を旧本山としています。この寺院は、洗足池のほとりにあった「御松庵」という庵が起源です。

歴史

御松庵の創建

御松庵は、鎌倉時代に日蓮聖人ゆかりの草庵として創建されました。1282年、日蓮聖人が身延山から池上宗仲の館（現在の池上本門寺）へ向かう途中、現在の洗足池である大池に立ち寄られました。その際、日蓮聖人は池のほとりで休憩し、傍らの松の木に法衣をかけ、池の水で手足を洗われたと伝えられています。この松は後に「袈裟掛けの松」と呼ばれるようになり、この出来事が洗足池の名の由来となりました。また、この時、池から七面天女が現れたとされ、その出来事を記念して七面天女を安置するお堂が建てられたのが御松庵の始まりです。

妙福寺の創建と移転

一方、妙福寺は日慈によって、寛永年間以前に現在の東京都中央区日本橋馬喰町に創建されました。しかし、1657年の明暦の大火などにより本堂などが焼失し、浅草に移転しました。その後、1923年の関東大震災で再び焼失し、1927年に現在の場所に移転しました。この際、既存の御松庵と合併する形で再建されました。

主な施設

妙福寺には、歴史的・文化的に価値のある多くの施設があります。

祖師堂（旧七面大明神堂）: 天保4年（1833年）に建てられた建物で、国の登録有形文化財に指定されています。
馬頭観世音供養塔: 大田区の指定文化財です。
小松稲荷: 寺院内に祀られている稲荷社です。
日蓮上人袈裟掛けの松: 洗足池の名の由来となった、日蓮聖人が袈裟をかけたという松の木です。現在の松は三代目です。
日蓮上人像: 境内に建立されている日蓮聖人の像です。

近隣施設

妙福寺の周辺には、以下の施設があります。

洗足池: 妙福寺の起源となった御松庵が建立された場所であり、歴史的な名所となっています。
勝海舟の墓: 洗足池公園内にあります。
大田区立洗足池図書館: 洗足池の近くにある公共図書館です。
洗心保育園: 妙福寺が母体となっている保育園です。
鳳凰閣（旧清明文庫）: かつての図書館建築で、現在は施設として活用されています。

アクセス

公共交通機関: 東急池上線洗足池駅から徒歩5分です。
拝観: 無料で、日中の時間帯に受け付けています。
駐車場: ありません。

脚注

大田区教育委員会編『大田区の文化財　第8集　大田区の寺院』　1972年
* 斎藤長秋 編「巻之二 天璇之部 千足池」『江戸名所図会』 一、有朋堂書店、415-417頁。NDLJP:1174130/213。

妙福寺は、日蓮聖人の足跡を伝える由緒ある寺院であり、洗足池と共に地域の人々に親しまれています。歴史と文化を感じられる場所として、多くの人が訪れています。

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