妻籠宿

妻籠宿：歴史と自然が織りなす木曽路の宝石

妻籠宿は、長野県南木曽町に位置する中山道42番目の宿場町です。江戸時代、中山道と飯田街道の要衝として栄え、多くの旅人でにぎわいました。現在も、当時の面影を色濃く残す町並みは、国内外から多くの観光客を魅了する、木曽路を代表する観光地となっています。特に、隣接する馬籠宿との連携による観光ルートは、歴史と自然を満喫できる人気のコースとなっています。

宿場町の賑わいから保存地区へ

天保14年（1843年）の『中山道宿村大概帳』によると、妻籠宿には本陣、脇本陣、旅籠など31軒の宿が軒を連ね、418人が暮らしていたと記録されています。しかし、1960年代以降、過疎化が深刻な問題となりました。この状況を受け、長野県は開発事業の一環として、妻籠宿の保存事業に着手。1968年から1970年にかけて、明治百年記念事業として寺下地区の26戸の建物の解体修復が行われました。

その後、観光客の増加に伴い、観光関連施設の整備が進められ、1973年には『妻籠宿保存条例』（1976年に『妻籠宿保存地区保存条例』へ改正）が制定されました。これは当時としては珍しく、町独自の条例による保存事業の取り組みであり、積極的な景観保全への姿勢を示しています。

全国的に伝統的な町並みが消えゆく中で、妻籠宿は地域を挙げての保全活動の成功例として注目を集め、1976年には国の重要伝統的建造物群保存地区の最初の選定地の一つに選ばれました。他の地区とは異なり、宿場町を支えた周辺の農地や国有林を含む広範囲が保存地区に指定されている点が特徴です。

見どころと史跡

妻籠宿には、歴史を感じさせる数多くの史跡や見どころが存在します。

熊谷家住宅: 江戸時代の生活を垣間見ることができる貴重な建物です。
口留番所跡: 旅人の通行を管理していた番所の跡地です。
高札場: 公告を掲示していた場所です。
南木曽町博物館: 妻籠宿の歴史や文化に関する資料を展示しています。
脇本陣奥谷: 木曽桧をふんだんに使用した重厚な建築様式が特徴的な建物で、現在は歴史資料館として公開されています。
妻籠宿本陣: 1995年に復元された本陣です。
郵便史コレクション料館: 妻籠郵便局内にあり、郵便の歴史に関する資料を展示しています。
枡形: 宿場町の入り口に設けられた防御施設です。
下嵯峨屋、上嵯峨屋: 昔の商家を復元した建物です。
馬屋: 旅籠の馬を繋いでいた施設です。
* 光徳寺: 宿場町に鎮座する寺院です。

馬籠宿への道

妻籠宿から隣接する馬籠宿へは、馬籠峠を越える旧中山道が整備されています。この道中では雄滝、女滝などの自然美も楽しめます。また、一石栃白木改番所や立会茶屋といった史跡も点在しています。

アクセスとイベント

妻籠宿へのアクセスは、JR中央本線南木曽駅からバスを利用するか、信濃路自然歩道を利用した徒歩でのアクセスが可能です。徒歩でのアクセスは、ハイキングコースとしても人気があります。

毎年6月第1日曜日には『南木曽町・妻籠健康マラソン大会』が開催され、多くのランナーが訪れます。

まとめ

妻籠宿は、歴史と自然が調和した美しい町並みと、数々の史跡、そして馬籠宿へのハイキングコースなど、見どころ満載の観光地です。木曽路を訪れる際は、ぜひ足を運んで、歴史と自然に癒されてみてください。

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