始皇帝 (麻雀ゲーム)

1986年、日本のコンピュータゲーム市場において、麻雀ゲームは一大ジャンルとして隆盛を極めていました。数多くの企業が独自の麻雀ゲームを開発・販売し、激しい競争が繰り広げられていたのです。そんな中、デービーソフトから発売されたのが『始皇帝』というタイトルのPC用麻雀ゲームでした。

『始皇帝』は、最大4人での対戦を可能とした麻雀ゲームです。当時人気を博していたハドソンソフトの『ジャン狂』や、シャノアールの『プロフェッショナル麻雀』といったタイトルを意識し、開発されたと言えるでしょう。これらの既存タイトルに対抗すべく、「最強麻雀」というキャッチコピーを掲げ、発売されました。

ゲームシステム自体は、既存の麻雀ゲームと比較して大きな違いはありませんでした。しかし、『始皇帝』には独自の機能として「研究モード」が搭載されていました。このモードでは、牌の出現確率や、様々な状況下での戦略などを研究することが可能でした。プレイヤーは、このモードを利用することで、より高度な麻雀の技術を習得することができたのです。

しかし、発売直後から『始皇帝』は、シャノアールからゲームシステムの酷似性についてクレームを受けました。具体的には、ゲームのルールやインターフェースなどに類似性が見られるとして、訴訟問題へと発展したのです。デービーソフトは、この問題について、詳細なコメントを発表することはありませんでした。

『始皇帝』は、PC-8800シリーズとPC-8001mkIISRという2機種に対応した、ハイブリッド設計がとられていました。これは、1枚のディスクメディアで両機種に対応できるという画期的な技術でした。また、カセットテープ版では、A面にPC-8800シリーズ版、B面にPC-8001mkIISR版のプログラムが収録されていました。この方式は、同社発売の『キングフラッピー』や『らぷてっく』といったゲームでも採用されていました。

その後、デービーソフトは麻雀ゲームの開発を続け、『今夜も朝までPOWERFULまぁじゃん』シリーズを発売しました。このシリーズは、高い評価を受け、多くのユーザーに支持されました。しかし、『始皇帝』は、訴訟問題や、他社製品との類似性といった負の側面も持った、デービーソフトの歴史における一つの作品として記憶されています。当時としては画期的なハイブリッド設計や、独自の研究モードといった要素は、後の麻雀ゲーム開発にも少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

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