デービーソフト

デービーソフト株式会社：黎明期のソフトウェアを彩った企業

デービーソフト株式会社（dB-SOFT Inc.）は、かつて存在した日本のソフトウェア製作会社です。1980年に株式会社コンピューターランド北海道として設立され、ゲームソフト販売では「セブンターキー」のブランドを使用していました。1984年にデービーソフト株式会社に商号を変更。社名の由来は、単位のデシベル (dB) から来ています。マスコットキャラクターは愛らしい「バッくん」でした。

代表作と多角的な事業展開

同社は、『FLAPPY』や『うっでいぽこ』などの人気ゲームを開発する一方で、「マカダミアソフト」という別ブランドでアダルトゲームも発売していました。特に1986年に発売された『177』は、国会で有害ゲームとして取り上げられるなど、社会的な注目を集めました。

ゲーム開発以外にも、コンパイル可能なBASIC言語である『dB-BASIC』を発売し、雑誌『PiO』（工学社）にBASIC講座を寄稿するなど、高いプログラミング技術力を有していました。また、セイコーエプソン製のハンドヘルドコンピュータ、HCシリーズの付属ソフトウェアの製造も手がけ、ワープロソフト『春望』や『P1.EXE』なども販売していました。『春望』は、キャリーラボ製『JET-8801A』の日本語変換辞書の盗用が発覚して問題となりましたが、内容そのものが優れていたため、JETから市場を奪うほどの人気を博しました。

1990年代末期には、ホームページ作成ソフト『HOTALL（ホタル）』が一般向けの主力ソフトとして販売されていました。

事業停止と解散

2001年8月1日にサポート業務をネットファーム・コミュニケーションズ（創業者は社長の古谷貞行の妻である古谷玲子氏）に移管して以降、会社としての活動はなくなり、2002年には社屋を売却、2003年に事業を停止しました。以降、登記上の役員変更が行われないなど休眠状態となり、最後の登記から2015年で12年が経過したため、会社法第472条の規定による休眠会社の整理対象となり、同年12月15日付でみなし解散の措置が執られました。

創業者である古谷貞行氏は、2006年10月末にネットファーム・コミュニケーションズの社長に就任し、同社で『FLAPPY』を公開しています。

スピンアウトした企業

デービーソフトからは、1990年に『宛名職人』のアジェンダ、1991年に『素材辞典』のデータクラフトなど、複数の会社がスピンアウトしています。デービーソフトの後期のゲームに見られる個性は、アジェンダを経てスマイルブームに引き継がれていると言われています。

参考文献

佐々木, 潤 (2013), 80年代マイコン大百科, 総合科学出版

外部リンク

デービーソフト 公式サイト - ウェイバックマシン
* Project EGG

デービーソフトは、日本のパソコン黎明期において、多様なジャンルのソフトウェアを開発・販売し、業界に大きな影響を与えた企業の一つとして記憶されています。

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