姫神

姫神：東北の魂を奏でるシンセサイザー音楽の系譜

姫神は、1980年に岩手県で結成された日本の音楽ユニットです。その名は、盛岡市にある姫神山に由来しています。花巻市の森に囲まれたスタジオを拠点に、東北地方の豊かな民謡や民族音楽を深く吸収し、独自の世界観を創造し続けてきました。

姫神の音楽の特徴は、何と言ってもこぶしを効かせた、独特のメロディーラインです。初期は最新のシンセサイザーを用いたインストゥルメンタル作品が中心でしたが、1990年代後半からは、姫神ヴォイスと呼ばれる女性コーラスグループの歌声や、生楽器を取り入れた楽曲も制作されるようになり、より奥行きのある表現へと進化を遂げました。

メンバーと変遷

姫神の歩みは、創設者である星吉昭氏とその長男である星吉紀氏によって彩られています。

星吉昭氏は、1971年にビクター電子音楽コンクールでグランプリを受賞し、シンセサイザー音楽のパイオニアとしてキャリアをスタートさせました。1980年には、バンド「姫神せんせいしょん」を結成し、翌年にはシングル「奥の細道」でデビュー。その後、ユニット名を「姫神」に改め、ソロユニットとして活動を開始します。星吉昭氏は、2004年に逝去しましたが、その音楽性は息子の星吉紀氏によって受け継がれています。

星吉紀氏は、1994年から姫神のアルバム制作に参加し、2004年10月1日の星吉昭氏の逝去後、姫神を継承。2008年には新体制初のアルバム『天∴日高見乃國』をリリースしました。現在も精力的に活動を続け、ラジオパーソナリティや観光大使としての活動も展開しています。

姫神ヴォイスは、星吉昭氏がブルガリアン・ヴォイスにヒントを得て結成した女性コーラスグループです。中島和子、志和純子、西風沢里絵の3名から構成され、1990年代後半以降、姫神の楽曲に彩りを添え、コンサートにも出演しています。厳密にはメンバーではありませんが、姫神の音楽表現に欠かせない存在となっています。

音楽活動と軌跡

姫神は、デビュー曲「奥の細道」が岩手放送のチャートで高い人気を獲得するなど、早くから注目を集めました。NHKの紀行番組や、テレビドラマのテーマ曲などを手掛け、その音楽は日本全国、そして世界へ広がっていきました。

1990年には伊勢神宮でコンサートを開催するなど、その活動は多岐に渡ります。2000年にはエジプトのスフィンクス広場やイスラエルのエルサレムミュージアム広場でもコンサートを行い、国際的な評価を高めました。

2011年の東日本大震災後には、売上全額を義援金とするダウンロード販売を行うなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。近年は、プラネタリウム番組の音楽制作にも携わり、その活動の幅をさらに広げています。

ディスコグラフィー

姫神は、数多くのアルバム、シングル、サウンドトラックなどをリリースしています。代表的なアルバムとして、『奥の細道』、『姫神伝説』、『東日流（つがる）』、『縄文海流～風の縄文III』などがあり、それぞれが姫神の音楽的進化と世界観の深化を物語っています。また、近年は配信限定リリース作品も発表し、時代に合わせて活動スタイルを柔軟に変化させています。

まとめ

姫神は、シンセサイザー音楽のパイオニアとして、また東北の民謡や民族音楽を現代に蘇らせたアーティストとして、日本の音楽史に重要な足跡を残しました。星吉昭氏から星吉紀氏へと受け継がれる音楽の魂は、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。その活動は、単なる音楽制作にとどまらず、地域文化の振興や国際交流にも貢献しており、日本の音楽シーンにおける大きな存在感を示しています。これからも、姫神の紡ぎ出す音楽が、人々の心にやすらぎと感動を与え続けることを期待しています。

もう一度検索