姶良Tn火山灰

姶良Tn火山灰について

姶良Tn火山灰（あいらティーエヌかざんばい）は、約2万9千年前から約2万6千年前にかけて発生した姶良カルデラの大噴火に由来する火山灰です。最初は丹沢山地で見られることから「丹沢軽石」と名付けられましたが、1970年代に姶良カルデラからの噴出物であることが明確になったことから、「姶良丹沢火山灰」と呼ばれるようになりました。

この火山灰層は九州から関東地方までの広域にわたり、直径2000キロにも及ぶ卵形の地域に分布しています。全体で約400万平方キロメートルの面積が火山灰に覆われ、その全体積は150立方キロメートルとされています。地質学においては「AT」という略称で取り扱われることが多く、地層の日付を決定する際の重要な指標ともなっています。

姶良Tn火山灰の成り立ちと特徴

姶良Tn火山灰は、同時に噴出された火砕流の一部が陸上に流れ込んで堆積したものであり、特に「シラス」として広く知られています。また、火山灰は空中高く吹き上げられ、偏西風に乗って東方へ移動した後、降下する形で分布しました。この現象は、火山灰の特異な分布を示し、広域テフラ研究の先駆けとして、テフラ年代学の発展にも寄与しました。

当時の環境変化についても言及すべき点があります。姶良Tn火山灰の堆積は、植物相に大きな変化をもたらし、これが寒冷化の原因となったという意見も存在します。考古学的な研究においても、この火山灰層は過去の年代決定に重要な役割を果たしてきました。

火山灰層の厚さと分布

姶良Tn火山灰の厚さは、地域によって大きく異なります。例えば、九州南部や高知県西部では厚さ50センチ以上が見られ、鳥取県の大山付近では80センチ以上の厚さがあることが報告されています。また、京都市や琵琶湖周辺でもそれぞれの地域に応じて火山灰層が存在しており、関東地方や中部地方では層の厚さが10センチ以上にわたることが確認されています。

この火山灰層は、東北地方の南部や北部、さらには朝鮮半島でも確認されており、その広範な分布は地質学的に非常に興味深いものとされています。

まとめ

姶良Tn火山灰は、約3万年前の大噴火によるもので、広大な地域にわたる重要な地層として、地質学や考古学において重要な役割を果たしています。この火山灰は過去の環境変化や地層年代の決定に寄与し、また今後の研究においてもその重要性は高まることが予想されます。

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