娘・妻・母

映画『娘・妻・母』の詳細

1960年に公開された映画『娘・妻・母』は、監督の成瀬巳喜男によって描かれた日本の家族ドラマです。物語は東京の坂西家を舞台に、人間関係や家族の絆を深く掘り下げています。この作品は登場人物の内面に焦点を当て、彼らがどのように困難な状況に立ち向かうかを描いています。

あらすじ

坂西家には、母親のあき、長男の勇一郎とその妻和子、三女の春子が住んでいます。長女の早苗は夫と姑との不和から実家に帰っており、次男の礼二は外でカメラマンとして働いています。二女の薫は、結婚して五人の子どもを持っていますが、姑との関係に悩んでいます。

早苗の夫が旅行中に不幸にも亡くなり、早苗は死亡保険金を得て実家に戻ることになります。勇一郎は町工場を経営しており、叔父からの融資を必要としています。早苗はその資金を提供することで、家族を支える役割を果たします。また、早苗は友人の紹介で知り合った醸造技師の黒木との関係が深まり、同時に結婚相手の見合い話も進行します。

一方、配偶者との関係に不満を抱く薫は、自立するための資金を早苗から借りることで自立を試みます。家族の絆の中では、金銭的なトラブルが浮き彫りになり、勇一郎は危機的な状況に直面します。債務が発覚したことで、家族会議が開かれますが、親の面倒を誰が見るのかといった問題で意見が対立し、結論は出ません。

早苗は見合いした五条と結婚したいと考えていますが、和子は母のあきを放っておけないため、勇一郎に母を引き取ることを提案します。あきは、老人ホームへの入所を考えているものの、自分にできる新しい生活を見つける希望も持っています。

キャスト

この映画には豪華なキャストが揃っており、母・坂西あきを演じる三益愛子、長男・坂西勇一郎役の森雅之、妻・坂西和子役の高峰秀子など、当時の名優たちが出演しています。また、早苗役には原節子、二女・谷薫役には草笛光子、カメラマンの坂西礼二役には宝田明が扮しています。これらのキャラクターたちは、家族における役割や期待に悩みながらも、それぞれの人生を歩む姿が描かれています。

まとめ

『娘・妻・母』は、家族間の愛情、葛藤、計り知れない感情の動きを捉えた作品です。成瀬巳喜男監督の手掛けた本作は、家族を題材にしたドラマの金字塔として、今でも高く評価されています。描かれる日常の一コマから、家族の絆がいかに大切かを考えさせられる、深いメッセージがある作品です。

もう一度検索