娘道成寺 蛇炎の恋

娘道成寺〜蛇炎の恋

『娘道成寺〜蛇炎の恋』（むすめどうじょうじ じゃえんの こい）は、2004年8月28日に公開された日本の映画です。この作品は、映画初出演となる九代目中村福助が、ロケ地の高野山で歌舞伎舞踊『京鹿子娘道成寺』を披露したことで話題を集めました。彼の美しい舞は本作の大きな魅力の一つです。

本作は日本での公開に先立ち、2004年3月にフランスで行われたドーヴィルアジア映画祭で招待作品として上映され、さらに同年6月には上海国際映画祭でのコンペティション部門でも取り上げられました。2005年にはワシントンDCインディペンデント映画祭で最優秀長編劇映画賞を受賞するなど、国内外で評価を得ています。

あらすじ

物語は、白拍子花子の衣装をまとって投身自殺を図った詩織を中心に進行します。彼女の双子の姉、遥香は詩織が舞うために歌舞伎の女形・村上に特別に弟子入りしていたことを知ります。妹が自ら命を絶った理由を明らかにするため、遥香もまた村上に弟子入りし、彼から『娘道成寺』の稽古を受け始めます。

稽古を重ねるうちに、遥香は村上に惹かれていきます。そして、詩織も彼への愛情を抱いていたのではないかという思いにたどり着きます。彼女の心の葛藤や、姉妹の絆の深さが物語に色を添えています。

スタッフとキャスト

本作品は、高山由紀子が監督を務め、脚本も担当しています。また、企画・総合プロデューサーには岡本みね子、プロデューサーには中島俊彦と笹倉隆が名を連ねています。音楽は松尾和之が手掛け、製作は『娘道成寺〜蛇炎の恋』製作委員会が行いました。

キャストには、村上役の九代目中村福助をはじめ、双子の姉妹を演じる牧瀬里穂、村上の弟子役に須賀貴匡、遥香の親友に真矢みき、さらには大衆演劇のニュー女形を演じた風間トオルなど、豪華なメンバーが揃っています。特に九代目中村福助の演技と舞は、多くの観客の心をつかみました。

DVDリリース

この映画は、2005年2月には特別版のDVDとしてリリースされました。角川映画から発売されたこのDVDには、作品を振り返る特典映像も収録されており、多くのファンにとって貴重なコレクションとなっています。

『娘道成寺〜蛇炎の恋』は、凝縮されたストーリーと見応えのある舞踊、そして深い愛の物語を描き出す作品です。この映画は、観る者に感動や考えさせる要素を与え、歌舞伎の魅力を再発見させてくれます。

もう一度検索