白拍子

白拍子の概要

白拍子（しらびょうし）は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて誕生した歌舞の一種であり、これを演じる芸人を指します。主に男女の遊女や子供が今様や朗詠を歌いながら舞いを披露しました。男装の形態もあり、素拍子（しらびょうし）という名称を用いることもありましたが、こちらは無伴奏の即興の舞を特に指します。

起源

白拍子の起源については、鎌倉時代前期の軍記物語『平家物語』で詳述されています。この文献では、鳥羽院の時代に活動していた島の千歳（せんさい）や和歌の前が白拍子の最初の芸人であるとされ、彼らは元々水干を身にまとい立烏帽子を被って舞ったと伝えられています。この舞がやがて烏帽子と刀を外し、水干のみで舞を披露するようになり、「白拍子」と名付けられるようになりました。

歴史

白拍子は男女問わずに特に女性や子供が舞うことが一般的でしたが、そのルーツをたどると古代の巫女による巫女舞に行き着くとも言われています。神事において、巫女が舞を舞うことで神を憑依させる儀式において、時には異性の姿に「変身」に近い形で行われることもありました。このような背景には、日本武尊や神功皇后がそれぞれ女装や男装を行い、神の意志を示すための象徴的な行為が関係していたと考えられています。

巫女たちが自身の舞を各地に広めていく中で、彼女たちの芸能は徐々に遊女へと発展していき、やがて遊女たちもまた男装し、舞に優れた者たちを一般的に白拍子と呼ぶようになったのです。白い直垂や水干に立烏帽子、白鞘巻きの刀を身に着けて舞うこの形式は、次第に華やかさを増していきました。伴奏としては主に鼓が用いられ、時に笛も取り入れられました。後には猿楽などの芸能に発展し、早歌や曲舞といった新たな演目の基礎となりました。白拍子は、その影響を室町時代初期まで色濃く残しました。

歴史上の白拍子

白拍子を舞う女性たちは単なる遊女に留まらず、多くが貴族の家に出入りしていたため、教養や見識に優れた方々が多く見られました。平清盛の愛妾であった祇王や仏御前、源義経の愛妾静御前、後鳥羽上皇の愛妾亀菊など、歴史に名を残す多くの白拍子が貴族に愛されました。

一例として、仏御前が挙げられます。彼女は14歳のときに上京し、叔父の白河兵内のもとで白拍子としての活動を始めました。その後、彼女は京都でその名を知られるようになり、権力者である平清盛の屋敷に出入りすることになりました。平清盛が寵愛を寄せていた妓王という白拍子がいたため、追い払われることもありましたが、妓王の誘いで清盛の前で即興で今様を詠むことになります。以下のような歌を詠み、彼女の素晴らしい舞いで清盛の心を掴む結果となりました。

君を始めて見るをりは　 ふるさとも経ぬべし姫小松　 御前の池なる亀岡に　 鶴こそ群れ居て遊ぶめれ

このように、白拍子は今日においても日本の伝統的な歌舞の重要な一部として評価されています。

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