子連れのコンパニオン

「子連れのコンパニオン」：ドクター・フーの感動とユーモア溢れる物語

『ドクター・フー』第6シリーズ第12話「子連れのコンパニオン」（原題:Closing Time）は、2011年9月24日にBBC Oneで初放送された、ギャレス・ロバーツ脚本、スティーヴ・ヒューズ監督によるエピソードです。同シリーズの「下宿人」の後日譚として、現代のコルチェスターを舞台に、11代目ドクター（マット・スミス）と友人クレイグ（ジェームズ・コーデン）とその息子アルフィーの物語が展開されます。

迫り来る死を意識したドクターは、別れを告げる旅の途中でクレイグの家を訪れます。当初は短時間の滞在を予定していましたが、街中でサイバーマンの侵略が発生していることを知り、クレイグ親子と共にその謎に挑むことになります。

コメディとシリアスの絶妙なバランス

本作は、マット・スミスとジェームズ・コーデンによる軽妙な掛け合いが中心となり、笑いを誘うシーンが満載です。しかし、同時にシリーズフィナーレ「ドクター最後の日」へと繋がる重要なテーマや、感動的な場面も織り込まれています。ドクターの死期が迫るという切実な状況と、ユーモラスな展開が共存することで、視聴者に複雑な感情を呼び起こす作品となっています。

サイバーマンの復活と新デザイン

「子連れのコンパニオン」では、新シリーズで初めてサイバーマットが登場します。クラシックシリーズでもお馴染みのサイバーマンですが、本作ではデザインを一新。より現代的な、そして恐ろしい姿で描かれています。

シリーズ全体の伏線と繋がり

本作は、過去のエピソードとの繋がりも深く、シリーズ全体のストーリーを理解する上で重要な役割を果たします。「閉ざされたホテル」から200年後の世界、「ドクターからの招待状」での出来事、さらにはリヴァー・ソングの物語など、様々な伏線が回収され、新たな事実が明らかになります。例えば、ドクターが過去にコンパニオンに送った青い封筒やテンガロンハットがクレイグの私物であることが判明するなど、細部にもこだわった構成となっています。エイミー・ポンドの活躍や、ペトリコールの香水の広告など、様々な要素が過去作とリンクしています。

制作秘話

脚本家ギャレス・ロバーツは、「下宿人」でのジェームズ・コーデンの演技に感銘を受け、クレイグの再登場を決定したと語っています。番組製作総指揮のスティーヴン・モファットも、クレイグのキャラクターを高く評価していました。監督のスティーヴ・ヒューズは、ドクターとクレイグのコンビを、ローレル＆ハーディやアボットとコステロといった名コンビになぞらえています。

サイバーマンの再登場はロバーツのアイディアです。ドクターの死を目前に控えた最後の戦いとして、そして歴史に繋がる展開としてサイバーマンを選んだそうです。また、撮影はカーディフのデパートや民家で行われ、深夜まで及んだというエピソードも残っています。

放送と批評家の反応

「子連れのコンパニオン」はイギリスでは693万人の視聴者数を獲得し、高い人気を博しました。批評家からの評価も高く、スミスとコーデンの演技、コメディ要素、そして感動的な場面が称賛されています。一方で、サイバーマンの脅威が弱体化しているという意見や、物語の展開に物足りなさを感じたという意見もありました。しかし、全体として肯定的なレビューが多く、シリーズフィナーレへの優れた導入部として高く評価されています。

まとめ

「子連れのコンパニオン」は、笑いと感動、そして謎解きが絶妙に融合した、傑作エピソードです。ドクター・フーシリーズを象徴する、ユーモラスでありながら、深い感銘を与える物語となっています。シリーズ全体への深い理解と、登場人物たちの魅力が存分に味わえる作品であり、ファンならずとも楽しめるでしょう。

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