孝武帝 (南朝宋)

孝武帝 劉駿（りゅうしゅん）

孝武帝 劉駿（430年 - 464年）は、南朝宋の第4代皇帝であり、その治世は中央集権化の推進と、それに伴う負の側面が色濃く反映された時代でした。彼の生涯と事績を以下に詳述します。

生涯

文帝劉義隆の三男として生まれた劉駿は、幼少期に武陵王に封じられ、その後、各地の刺史を歴任しました。これらの地方官としての経験は、彼が政治的な手腕を磨く上で重要な役割を果たしたと考えられます。

元嘉30年（453年）に勃発した皇太子劉劭による文帝暗殺事件は、劉駿の人生を大きく変えました。父の仇を討つべく、劉駿は江州で兵を挙げ、建康を陥落させて劉劭を討ち、自ら皇帝の座に就きました。

治世

皇帝に即位した劉駿は、中央集権化を推し進め、側近に寒門出身者を登用するなど、従来の貴族政治からの脱却を図りました。しかしその一方で、彼は兄弟の一族を殺害したり、一般市民を虐殺するなど、暴虐的な一面も持ち合わせていました。また、奢侈を好み、そのための財源確保として租税を厳しく取り立てたため、民衆の不満が高まり、南朝宋の衰退の端緒となりました。

大明3年（459年）には、異母弟の竟陵王 劉誕が叛乱を起こしましたが、車騎大将軍 沈慶之によって鎮圧されました。

大明8年（464年）、劉駿は玉燭殿で崩御しました。

家族

正室：王憲嫄（孝武文穆皇后）

子女：
長女：山陰公主 劉楚玉 - 何戢に嫁ぐ。
三女：臨淮公主 劉楚珮 - 王瑩に嫁ぐ。
長男：前廃帝 劉子業 - 第5代皇帝
次男：豫章王 劉子尚

多数の側室を抱え、多くの子女をもうけました。

評価

劉駿の治世は、中央集権化を推し進めた一方で、その過程で多くの犠牲者を出し、民衆の不満を高めたという点で、評価が分かれるところです。彼の政策は、南朝宋の衰退を招いた一因とも言えるでしょう。

伝記資料

『宋書』巻6 本紀第6 世祖孝武皇帝
『南史』巻2 宋本紀中第2 孝武皇帝

もう一度検索