宋書

『宋書』の概要

『宋書』は、南朝の宋に関する歴史を記した重要な書物です。著者は沈約で、彼は南朝斉の武帝の命でこの歴史書を編纂しました。この作品は、記伝体という形式を採用しており、本紀10巻、列伝60巻、志30巻の合計100巻から成り立っています。『宋書』は、中国の伝統的な歴史書の一つであり、特に南朝における綿延した歴史を知る上で欠かせない資料となっています。

背景と編纂の経緯

沈約は、南朝宋の時代に存在したいくつかの文献を参考にしながら『宋書』を完成させました。彼が作業を始めた際には、何承天や山謙之、蘇宝生、徐爰といった先人の成果があったため、沈約はそれらの情報を基に作業を進めることができました。本紀と列伝の部分はわずか1年で完成しましたが、志に関しては実に10年の歳月を要し、完成は梁の時代に入ってからでした。

この書物が特異な点は、編纂が南朝宋の滅亡直後、まだ多くの関係者が存命であった時期に行われたため、同時代の資料が豊富に収められていることです。このため、『宋書』は非常に高い資料的価値を持っています。しかし、北宋の時代に入ると、書物は幾分欠落が目立つようになりました。そのため、後の歴史家たちは『南史』や高氏の『小史』などの別の文献を補足情報のために利用して、『宋書』の内容を修正または理解する努力を行いました。

日本に関する記述

『宋書』には、日本の歴史に関する重要な情報も含まれています。特に、「夷蛮伝」部分には、「倭の五王」として知られる日本の支配者からの朝貢が記録されており、これは当時の日本に関する貴重な資料となっています。ただし、この「夷蛮伝」は早期に散逸してしまったとされ、後に10世紀になって趙匡胤の時代に補われた可能性が指摘されています。

書の構成

『宋書』は、次のような構成で成り立っています：

• - 本紀：10巻からなり、各帝の事績が綴られています。たとえば、武帝の大業を扱った部分が3巻にわたっています。
• - 列伝：60巻にわたる伝記の部分では、著名な人物や皇后などの事績が詳細に述べられています。
• - 志：30巻では、法律、天文学、音楽など、さまざまな分野についての知識が記録されています。

脚注と参考文献

『宋書』の内容を理解するためには、歴史的背景や関連文献を知ることが重要です。中華書局から1974年に発行された版本が広く参照されています。また、日本における『宋書』の影響や研究についても、前述した倭関連の中国文献と照らし合わせることで、さらなる理解が進むでしょう。

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