孤立主義

孤立主義とは

孤立主義（こりつしゅぎ）とは、アメリカ合衆国が第二次世界大戦前に採用していた外交政策で、主にヨーロッパの問題に干渉せず、内向きな姿勢を貫くことを指します。この方針は、初代大統領にあたるジョージ・ワシントンが告別演説で述べた「世界のいずれの国家とも永久的同盟を結ばずにいくことこそ、我々の真の国策である」という言葉に基づくもので、特にモンロー主義として知られる「非干渉主義」がその根本にあります。

歴史的背景

アメリカの孤立主義は、南北アメリカ大陸に権益を持ち、他の地域への軍事的介入が必要でないという考え方から生じました。この思想は、人種的多様性を持つ移民国家として、国内の不安を招く内紛を避けるための防衛的立場でもありました。モンロー主義が支持を受けた時代には、アメリカは南北アメリカ大陸内の権益を追求し、先住民族に対する攻撃や米墨戦争においても積極的でしたが、ヨーロッパに対しては特に干渉しない立場を取っていました。

第一次世界大戦への参戦

早い段階では、アメリカは孤立主義の姿勢を保っていたものの、1917年に第一次世界大戦に参戦しました。この参戦は、アメリカが協商国に対して多額の借款を行い、若者たちが戦場で命を落とす原因となりました。戦後、ベルサイユ体制がドイツに負担を強いたため、アメリカ国民は幻滅感を抱くようになり、戦争に対する嫌悪が広がりました。国民の大多数は非干渉の立場を堅持し続け、政治的な運動も展開されました。

孤立主義の変遷

1940年、アメリカ第一主義委員会が設立され、国内での非干渉主義を主張しましたが、真珠湾攻撃を機に、その動きは急速に無力化されました。アメリカは第二次世界大戦に突入し、孤立主義は名実ともに消え去りました。この戦争を通じて、アメリカは軍事的な影響力を世界に及ぼす超大国へと成長し、冷戦時代に突入しました。ソビエト連邦との対立が激化する中で、アメリカは建国以来の国策であった孤立主義を放棄し、積極的な国際干渉へと舵を切りました。

新孤立主義の兆し

しかし、この後もアメリカの外交政策は変動し続けます。イラク戦争の失敗や財政問題が浮かび上がる中、特にオバマ政権では再び孤立主義的な動きが見られました。シリア内戦における軍事介入の際、国内の抵抗を受け、結局アメリカは軍事介入を控える決断をしました。これにより、アメリカの同盟国は自国の防衛力向上を模索し始め、国家間の信頼関係にも影響を与えました。

結論

孤立主義はアメリカの外交における重要な概念であり、その歴史はアメリカの立ち位置や国際関係に多大な影響を与えました。現在も、それに関連する議論が続いており、未来の国際的な役割を再考する必要がある状況です。特に、ドナルド・トランプ政権の出現以降、孤立主義も新たな注目を浴びつつあります。アメリカの外交がどのように変化していくのか、今後の動向が注目されます。

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