学士（医学）

学士（医学）：日本の医学教育における学位

学士（医学）は、日本の大学医学部を卒業した者に授与される学士の学位です。日本の医学教育における歴史は古く、明治時代から存在しています。学位としての歴史的変遷や、アメリカ合衆国の学位との比較、関連する制度などを解説します。

歴史

日本の医学分野における学士号の歴史は、明治10年（1877年）の旧制東京大学開学にまで遡ります。この際に、法学士、理学士、文学士、製薬士とともに医学士の学位が定められました。その後、明治20年（1887年）の帝国大学令により、学士号は学位から称号に移行し、医学士も称号となりました。

東京大学医学部を卒業した最初の医学士は、明治12年（1879年）に18名が誕生しました。その後、昭和22年（1947年）の学校教育法施行により、医学士は再び称号となり、昭和33年（1963年）には文部省が定めた大学設置基準において学士号29種類の一つと位置づけられました。

平成3年（1991年）の学校教育法及び学位規則の改正により、学士号は再び学位として認められ、「医学士」は「学士（医学）」に改称されました。それまでの医学士の称号は、学校教育法改正附則で学位とみなされました。

医学部教育と学士（医学）

日本の大学医学部は6年制となっており、6年間の課程を修了した学生に学士（医学）が授与されます。6年制学部には、博士前期課程（修士課程）を経ずに4年制博士課程が設置されている大学もあります。

他学部卒業者が医学系の修士課程に進学することもあります。また、6年制医学部卒業者が、他の分野の博士後期課程に進学する際には、修士号の取得が求められる場合があります。

英語表記

日本の「学士（医学）」は専門職学位ではありませんが、アメリカ合衆国のメディカル・スクール卒業者の学位表記にならい、「M.D.」と表記されることが多いです。アメリカ合衆国では、

M.D. (Doctor of Medicine): メディカル・スクール卒業者に授与される4年制専門職学位
D.O. (Doctor of Osteopathic Medicine): オステオパシー・メディカル・スクール卒業者に授与される4年制専門職学位

が用いられています。イギリスや英連邦諸国では、「M.B.B.S. (Bachelor of Medicine, Bachelor of Surgery)」や「B.Med. (Bachelor of Medicine)」といった6年制学士の学位が用いられています。これらの違いは、国の教育制度や医療制度の違いを反映したものです。

まとめ

学士（医学）は、日本の医学教育における重要な学位であり、長い歴史と伝統を有しています。6年制の医学部教育を修了した学生に授与され、医師となるための第一歩となります。その歴史的変遷や、他の国の学位との比較などを理解することで、日本の医学教育システムへの理解を深めることができます。 本稿では、学士（医学）の歴史、教育システム、そして国際的な学位との比較を通して、日本の医学教育の現状と将来像を考察しました。今後の医学教育の発展に貢献できるよう、継続的な研究と議論が不可欠です。

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