学士（看護学）

学士（看護学）とは

学士（看護学）は、看護学の分野における学士の学位の一つです。英語ではBachelor of Science in Nursing (B.S.N.)と表記されます。看護学の学士号としては一般的な名称で、上位の学位として修士（看護学）や博士（看護学）が存在します。

概要と歴史

日本では、主に四年制大学の看護学部や看護学科で取得できる学位です。また、省庁大学校の看護学部を卒業し、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の審査に合格することでも取得できます。かつては「看護学士」という称号でしたが、現在は学位として扱われています。

看護学教育の起源と学士号の変遷

日本の大学における看護学教育は、1896年に順天堂大学医療看護学部の前身である順天堂医科大学附属順天堂医院看護学院が発足したのが始まりです。その後、大阪大学や京都大学などの国立大学にも看護学教育が広がりました。

1947年の学校教育法成立により、学士号は同法に基づく称号となりました。1956年には文部省が大学設置基準を定め、看護学の称号として「衛生看護学士」が定められました。1958年の改正で、衛生看護学士は「看護学士」と「保健衛生学士」に分割されました。

1991年の学校教育法改正で、学士号は再び学位となり、「○○学士」から「学士（○○学）」という形式に変更されました。学位の名称も大学や授与機関が自由に定めることができるようになり、「学士（看護学）」以外にも「学士（保健看護学）」、「学士（保健科学）」などの種類が登場しました。

学位授与機構における学士（看護学）

学位授与機構では、短期大学や高等専門学校の卒業生、専修学校の修了生、大学中退者などにも学位取得の道が開かれました。機構の審査に合格することで、学士（看護学）の学位が授与されます。

学位審査の要件としては、基礎看護学、母性看護学、小児看護学、成人看護学などの専門科目を16単位以上、看護学に関する実習科目を16単位以上修得する必要があります。

学士（看護学）取得の意義

学士（看護学）の学位を取得する意義は、大学卒業資格と同等の学力を公に認められることです。養護教諭の免許取得の基礎資格となったり、大学院への進学資格を得ることができます。

短期大学士や高等専門学校の準学士、専門士の称号を得た人が、大学に編入学したり、科目履修生として単位を取得し、学位授与機構で学士を目指すことも可能です。

学士（看護学）は国際通用性が認められた学位ですが、準学士、高度専門士、専門士は国際通用性が担保されていません。

看護師免許との関連性

看護師国家試験の受験資格には、看護学を専攻する大学の学科を卒業または3年以上修学することが要件の一つです。しかし、看護師免許を取得する上で、学士（看護学）の学位は必須ではありません。看護学校などの養成所を卒業した場合も受験資格は得られます。

学位授与機構でも各種の資格試験において、「大学卒業」を受験資格としている場合があるため注意が必要です。もっとも、機構で学士（看護学）の学位を得るには、看護大学や看護学校で一定の単位を取得する必要があるため、受験資格を満たしている場合が多いです。

学士（看護学）取得後のキャリアアップ

学士（看護学）の学位取得後のキャリアアップとしては、大学院の修士課程や専門職学位課程への進学が考えられます。看護学に限らず、異なる学問領域への進学も可能です。

看護学や医療関連領域では、大学院の看護学研究科や医学系研究科の保健衛生学研究科などで修士（看護学）や博士（看護学）の学位取得を目指すことができます。専門職大学院では、助産師の養成を目的とする専攻で助産修士（専門職）の学位を取得することも可能です。

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