学校の階段

学校の階段

『学校の階段』は、櫂末高彰による日本のライトノベル作品であり、イラストは甘福あまねが担当しています。第7回エンターブレインえんため大賞優秀賞を受賞し、2006年から2012年にかけてファミ通文庫（エンターブレイン）より刊行されました。2007年4月時点で累計部数は20万部を記録しています。

ストーリー

主人公の神庭幸宏は、目標もなく平凡な高校生活を送っていました。しかし、ある日学校の階段で不思議な風を感じ、全力疾走する女子生徒を目撃します。この出会いをきっかけに、彼は非公認部活動「階段部」と関わることになります。

階段部は、学校の階段を走ることを目的としたユニークな部活動で、その活動は周囲から理解されにくいものでした。しかし、幸宏は部員たちとの交流を通して、自分の進むべき道を見つけ、成長していきます。

登場人物

階段部部員

神庭 幸宏（かんば ゆきひろ）
本作の主人公。天栗浜高校1年生。両親を亡くし、伯父夫婦の家に引き取られますが、伯父夫婦の海外出張により、従姉妹たちと暮らすことになります。天然な性格で、無意識に正解を導き出す力を持っています。運動能力は平均的ですが、直感的な危機回避能力に優れています。後に生徒会長に立候補し、当選を果たします。
九重 ゆうこ（ここのえ ゆうこ）
階段部の部長で創設者。元陸上部で、障害物競走のエースでした。非常に強引でわがままな性格で、周りを振り回すことが多く、部員からはツッコミを受けることもありますが、抜群の運動能力を持っています。
刈谷 健吾（かりや けんご）
階段部の副部長。元生徒会執行部員。冷静で頼れる存在で、暴走しがちなゆうこのストッパー役です。階段を走ることに強い情熱を持っており、階段部最強の走り手と評されています。独自の走法「Vターン」を使いこなします。
天ヶ崎 泉（あまがさき いずみ）
大富豪の令嬢で、長身の美少女。元々はテニス部でしたが、自分の家柄が実力に影響することに嫌気がさし、テニスを辞めました。階段部では、下り階段を利用した「降下走法」を得意としています。階段部新部長に就任します。
三枝 宗司（さえぐさ そうじ）
メガネをかけた理知的な雰囲気の青年。元々は自己中心的で他人を見下していましたが、階段部に入部してから徐々に変化していきます。情報処理能力に優れており、階段レースでは最適なルートを瞬時に見つけ出すことができます。
井筒 研（いづつ けん）
ツンツンした髪が特徴の熱血漢。ゆうこに心酔しており、彼女のために階段部に入部しました。幸宏を一方的にライバル視しています。関節の柔軟性を生かしたターンを得意としています。

生徒会関係者

遊佐 由宇一（ゆさ ゆういち）
天栗浜高校生徒会会長。飄々とした性格ですが、腹黒い一面も持っており、階段部を翻弄します。生徒会を「生徒が生き生きと活動できる場」と捉えています。
中村 ちづる（なかむら ちづる）
生徒会執行部部長。融通の利かない委員長タイプで、階段部の存在を快く思っていません。刈谷に好意を抱いています。

御神楽 あやめ（みかぐら あやめ）
新生徒会副会長。フランス人形のような外見の美少女。前年生徒会長に立候補しましたが遊佐に敗れ、今年再び立候補します。他人を「手駒」や「犬」扱いする腹黒い一面を持つものの、幸宏に好意を抱き、副会長に就任します。

天栗浜高校生徒

三島 真琴（みしま まこと）
陸上部員で幸宏のクラスメイト。姉御肌な性格で、幸宏に興味を持っています。
凪原 ちえ（なぎはら ちえ）
映画研究部員。天ヶ崎泉のファンで、彼女のドキュメンタリーを撮ろうとしていました。井筒に好意を抱くようになります。
吉田 行祐（よしだ ゆきひろ）
幸宏の親友でクラスメイト。バスケ部員。ややナンパな性格ですが、友達思いです。後に新「女神委員会」会長に選ばれます。
渡辺 雪比呂（わたなべ ゆきひろ）
幸宏の親友でクラスメイト。バスケ部員。吉田と共に幸宏を応援しています。後に新「女神委員会」副会長に就任します。
山田 翔子（やまだ しょうこ）
レスリング部員。面倒見のよい姉御肌で、クラスの女子から人気があります。１年生三女神の一人に選ばれています。
上原 莉梨子（うえはら りりこ）
天然な美少女。１年生三女神の一人に選ばれています。外伝「学校の外階段」では主人公を振り回す役割を担います。

山上桔梗院学園高校

寺城 源八郎（てらしろ げんぱちろう）
刈谷とゆうこの中学時代の同級生。武道の達人です。大雑把な性格ですが、面倒見の良い一面も持っています。
槙島 愛（まきしま あい）
凪原の親友で、槙島慎の妹。天ヶ崎に憧れていました。
槙島 慎（まきしま しん）
槙島愛の兄。重度のシスコンです。元陸上部で短距離走の選手でした。
波佐間 勝一（はざま しょういち）
驚異的な身体能力を持つ美形。複雑な家庭環境を抱えています。幸宏に興味を抱いています。
水戸野 凛（みとの りん）
自称・天才。当初は周囲に攻撃的でしたが、後に天ヶ崎と仲良くなります。

神庭姉妹

神庭 希春（かんば きはる）
幸宏の従姉で、異常なほどの愛情を抱いています。料理が得意で、幸宏のために毎日弁当を作っています。
神庭 小夏（かんば こなつ）
幸宏の従姉で、数学教師。かつては「桔梗院の夜叉姫」と呼ばれた不良でした。掴みどころのない人物です。
神庭 千秋（かんば ちあき）
幸宏の従姉で体育会系。幸宏にはスキンシップが激しいです。
神庭 美冬（かんば みふゆ）
幸宏の従姉で、女子テニス部のエース。無愛想ですが、心優しい性格です。幸宏に好意を抱いています。2年生三女神の一人に選ばれています。

用語

天栗浜高校（てんぐりはまこうこう）

物語の舞台となる私立高校です。生徒の自主性を重んじており、部活動が活発に行われています。学校の構造は複雑で、高低差のある地形に建てられています。

山上桔梗院学園高校（やまがみききょういんがくえんこうこう）

歴史ある地元の有名校と新興校が統合してできた学校です。資金力があり、設備や環境が充実しています。

階段部（かいだんぶ）

ひたすら「階段を走る」という天栗浜高校の非公認部活動です。部員たちは日々階段レースに励んでおり、その活動は周囲から理解されにくいものの、彼らは独自の走法を磨き、絆を深めています。シンボルマークはハムスターで、ジャージの絵柄は部員ごとに異なっています。

階段レース

階段部が行うレースで、学校の階段や廊下、屋上などを使用します。様々なコースやルールが存在し、走力だけでなく、情報収集能力や状況判断能力も重要となります。種目には、ショットレース、スタンダード、ラリーなどがあります。

メディアミックス

実写映画：2007年に実写映画化され、黒川芽以が主演を務めました。
漫画：2010年から2012年にかけて、ファミ通コミッククリアにて漫画版が連載されました。作画は芳井アキが担当しています。

その他

この作品は、個性豊かなキャラクターたちが、階段を舞台にしたユニークな部活動を通して成長していく物語です。青春、友情、恋愛、そして少しのミステリーが絡み合い、読者を魅了します。

既刊一覧

小説

本編

櫂末高彰（著）・甘福あまね（イラスト） 『学校の階段』 エンターブレイン〈ファミ通文庫〉、全10巻

短編

櫂末高彰（著）・甘福あまね（イラスト） 『学校の階段の踊り場』 エンターブレイン〈ファミ通文庫〉、全2巻

外伝

櫂末高彰（著）・甘福あまね（イラスト） 『学校の外階段』 エンターブレイン〈ファミ通文庫〉、全3巻

漫画

櫂末高彰（原作）・甘福あまね（キャラクター原案）・芳井アキ（作画） 『学校の階段』 エンターブレイン〈ファミ通クリアコミックス〉、全4巻

映画

2007年実写映画化

関連リンク

ファミ通コミッククリア
角川映画
甘福あまねホームページ
allcinema
KINENOTE
* IMDb

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