学生ロマンス 若き日

映画『学生ロマンス 若き日』

『学生ロマンス 若き日』は、日本の映画史に残る小津安二郎監督の作品であり、1929年4月13日に公開されました。松竹キネマが製作したこの映画は、モノクロ・サイレントのスタイルで、上映時間は109分です。本作は特に小津の初期の作品として注目され、大学生たちの恋愛模様とスキー旅行をテーマにしたコメディ映画です。

この映画のストーリーは、大学生の渡辺と山本という二人の男の子が、同じ女性・千恵子に恋をしているところから始まります。期末試験が終わり春休みに入ると、彼らは大学のスキー部と共に赤倉山へ出かけることになり、そこで偶然千恵子と再会します。しかし、彼らが千恵子に対して張り合う中、実は彼女がスキー部主将の畑本とお見合いをするために来ていることを知り、二人は肩を落とします。

この映画は、渡辺と山本の間に見える恋愛競争や、彼らの友人関係、またスキーを通じた青春の一幕が描かれています。小津安二郎監督は、原作である伏見晁のシナリオをもとに演出を行い、その独特の視点で視聴者に笑いと共感を提供しています。

映画は初回興行を帝国館で行い、その後もリバイバル上映がありました。現在、東京国立近代美術館フィルムセンターには、9,230フィート（約2,813.3メートル）の35mmフィルムと3,691.15フィート（約1,125メートル）の16mmフィルムの2つのバージョンが所蔵されています。これは、作品の重要性と小津監督の映画に対する国際的な評価の一端を示しています。

映画の製作スタッフには、撮影と編集を手掛けた茂原英雄や、舞台設計の脇田世根一といった名前が挙げられます。彼らは、小津監督の独自の美学を映像に落とし込むために貢献しました。

キャストには、学生役の結城一郎や斎藤達雄、そして千恵子役の松井潤子などが名を連ねており、それぞれの演技が物語にさらなる深みを与えています。また、作品中には教授や下宿の内儀といった脇役も登場し、ストーリーの背景やキャラクターの関係性を形成しています。

本作は2003年12月25日に松竹からリリースされたDVD-BOXの第4集にも収録され、現在なお多くの映画ファンに親しまれています。時代を超えて愛される『学生ロマンス 若き日』は、若者の恋愛や友情、そして青春の一時を軽快に描いた作品であり、多くの人々にとって思い出深い映画となっています。

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