宇喜世

宇喜世（うきよ） - 新潟県上越市の老舗料亭

宇喜世は、新潟県上越市仲町に位置する伝統的な料亭で、長い歴史を有しています。その起源は江戸時代末期に遡り、最初は仕出屋としてスタートしましたが、やがて幕末から明治初期にかけて改装され、割烹料亭「寺島屋」として新たな形態を誕生させました。

本館は明治中期に建設され、3階建ての堂々たる造りが特徴的です。特に2階にある153畳の大広間はその広さから、多くの客を収容できる用途に使われてきました。その後、明治末には「日進館」として、西洋料理の導入に積極的に取り組んだ歴史もあります。このように、宇喜世は時代の流れに沿った変化を続けてきたのです。

「宇喜世」という名称は、1933年に作られた新しい屋号で、その後この名で親しまれるようになりました。宇喜世は、旧高田市の中でも高級料亭としての地位を確立し、近隣の直江津市の企業が接待の場として利用することが多々ありました。そのため、地域経済にも大きな影響を与えてきたことは間違いありません。

また、宇喜世は1953年に新藤兼人監督による映画『縮図』の舞台にもなり、その存在感をアピールしています。映画の影響もあり、宇喜世は文化的な側面でも注目を集めることとなりました。

しかし、2006年には経営が悪化し、存続の危機に直面しました。その際、地元の経済界から支援を受けて設立された株式会社が経営を引き継ぎ、存続が決定しました。これにより、厨房設備などの更新が行われ、伝統の味を守りつつ新たなスタイルを模索することとなりました。

2008年には本館が文化財として登録され、昭和初期に建設された茅葺屋根の北門や数寄屋風の東門とともに、その歴史的価値が認められました。宇喜世の建物は、美しい意匠を持ち、地域の文化財としても大切にされています。

2013年には、福祉関連事業などを展開する大島グループが宇喜世を買収し、経営改革が進められました。大島誠が社長になり、ランチ営業や各種催事の実施を通じて、料亭の革新を図りました。特に2017年には「百年料亭ネットワーク」を結成する中核となり、全国の老舗料亭との連携を強化しています。

宇喜世はただの料亭ではなく、新潟の文化や歴史を体現する場所であり、訪れる人々にその魅力を伝える存在となっています。今後もその伝統と革新を融合させ、地域に貢献し続けることが期待されています。

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