宇喜多宗家

宇喜多宗家について

宇喜多宗家（うきた むねいえ）は、室町時代後期に活躍したとされる人物です。生没年は不明で、宇喜多氏の初期の当主として知られています。修理進という官位を持っていたとされています。

出自の謎

宗家の出自については、多くの謎に包まれています。有力な説としては、公家の三条氏の出身であるというものがあります。系図によると、三条信宗の子であるとされていますが、確証はありません。また、妻は児島高家の娘であったとされています。

宇喜多氏の系図では、宗家は宇喜多久家の実父であるか、または養父であるとされています。久家は、児島信徳（実在が疑われる人物）の息子を養子に迎えたという説もあります。しかし、これらの説には矛盾点が多く、宗家の出自は依然として不明なままです。

有力な説の一つとして、宗家は応仁の乱の戦火を避けて地方へ下向した公家の一人であるというものがあります。赤松氏を頼って備前国に下向し、そこで児島高家の娘と結婚して宇喜多氏を称したと考えられています。この説が事実であれば、宗家は藤原氏の三条家をルーツとする公家であり、児島氏とは血縁関係がありません。しかし、宇喜多氏が児島氏とのつながりを強調するため、久家を児島信徳の子とする系図を作成し、宗家の存在を無視したという見方もあります。

しかし、西大寺文書や弘法寺への寄進状に宗家の名が残っていることから、宗家という人物が実在したことは確実です。もし久家を児島信徳の子とする説が正しいならば、宗家は久家を養子に迎えたことになります。しかし、この説には「信徳という男子がいるのに、なぜ養子が必要なのか」「児島の嫡流である久家を、なぜ宗家に養子に出す必要があるのか」という矛盾点が存在します。

また、久家は宗家の実子であり、母親が児島氏の出身であるため、児島氏の後裔を称することは問題ないという解釈も存在します。しかし、久家が宗家の実子であることを裏付ける史料も存在せず、やはり宗家の出自は不明なままです。

さらに、宗家が西大寺に土地を寄進する一年前には、宇喜多五郎右衛門入道寳昌という人物が成光寺に寄進を行っています。この人物が宗家の父である三条信宗ではないかという説もありますが、詳細は不明です。

西大寺との関わり

文明2年（1470年）、赤松政則が西大寺に土地を寄進しようとしたものの、実行されませんでした。そこで、守護奉行人の浦上則宗が、備前守護代の松田氏や浦上基景に実行を命じましたが、これも実現しませんでした。最終的に、郡代の島村氏が宇喜多宗家に協力を依頼したという記録が残っています。この記録から、宗家の時代には既に西大寺に何らかの権益を持ち、周辺の荘園に勢力を伸ばしていたことがわかります。

しかし、当時の宇喜多氏は有力な土豪に過ぎず、西大寺を完全に支配下には置いていませんでした。当時の宇喜多氏は、西大寺に隣接する吉井川での舟運に関わる利権や、三宅氏との関係から海賊的な要素も持つ武装商人としての性格が強かったと考えられています。

まとめ

宇喜多宗家は、宇喜多氏の初期の当主として、その後の宇喜多氏の発展の礎を築いた人物であると考えられます。しかし、その出自や具体的な活動については不明な点が多く、今後の研究によって新たな事実が明らかになることが期待されます。

参考文献

渡邊大門 「戦国初期の宇喜多氏について : 文明〜大永年間における浦上氏との関係を中心に」 『佛教大學大學院紀要』 34号 2006年03月01日 pp.71-84
渡邊大門『宇喜多直家・秀家』ミネルヴァ書房、2011年
立石定夫『戦国宇喜多一族』新人物往来社、1988年
島村豊「浦上家宿老、島村氏の研究（一）」 『岡山地方史研究 145号』 岡山地方史研究会 2018年8月

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