公家

公家の概要

公家（くげ）は、日本における朝廷に仕える貴族層のことを指し、主に三位以上の位階を世襲する家族の総称です。彼らは天皇に仕え、御所に出仕することが求められていました。公家という言葉の起源は、元来天皇または朝廷を意味し、「こうけ」または「おおやけ」と読みました。鎌倉時代以降、武力によって天皇に奉仕する幕府（武家）と対比される形で、儀式や文治をもって天皇に仕える宮廷貴族を指すようになりました。

公家の歴史と成立

平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、公卿に昇進できる家柄が特定され、藤原北家の影響で家格が固定化されました。この時期に日本の社会では家産の相続を基本とした家制度が形成され、公家社会もこの流れの中で誕生しました。公家の経済的基盤は、主に荘園や公領からの収入によるものであり、上流貴族は荘園寄進を受けて本家として支配権を持ち、また中流貴族は上流貴族や大寺社から任命されることで荘園の管理権を得て生活基盤を築いていました。

鎌倉時代から室町時代

鎌倉時代には、主に軍事系の武家政権に対する政務を担当する公家政権が存在し、時には両者が協調しつつ政務を行っていました。しかし、地方レベルでは公家の支配権が地頭らに侵食される光景が見られ、次第に公家の権限は弱体化していきました。室町時代に入ると、公家の権力はさらに侵され、将軍に仕える者や、各地の荘園を直接経営する者が現れるようになりました。

江戸時代と公家制度

江戸時代には公家は幕府の保護を受け、御所周辺に居住しましたが、同時に禁中並公家諸法度によって規制されました。これにより、朝廷と幕府との関係が明確化し、公家社会は幕末まで存続しました。明治維新の際、東京に新たな政治の中心が移されたことで、公家制度は解体され、多くは華族に移行し、その後の日本社会に影響を与えることとなりました。

公家の分類と家格

公家は、堂上家（昇殿許可）と地下家（非昇殿）の2つに大別され、一般的には堂上家を指します。また、古くから存在する家は旧家、安土桃山時代以降に設立された家は新家と呼ばれます。平安時代から鎌倉時代にかけて公家の家格は固定化され、様々な序列が形成された結果、国の政務において特定の地位を占めるようになりました。特に摂家は政治において重要な役割を果たしました。

近現代における転換

公家から華族への移行は、歴史的背景と家格、任官状況を基に決定され、特に摂関家や清華家は上位として公爵家や侯爵家に位置づけられました。地下家の華族への移行は全て男爵家となりました。この華族制度は1947年の日本国憲法施行により廃止され、その後の昭和中期以降、公家文化が見直される動きが見られました。特に会員間の交流を促進するために設立された堂上会などが、伝統の保存と振興に役立っています。

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