宇宙伝説ユリシーズ31

宇宙伝説ユリシーズ31

『宇宙伝説ユリシーズ31』は、日本の東京ムービー新社とフランスのDICという二つの企業による共同制作で生まれたアニメシリーズです。物語は、古代ギリシアの英雄ユリシーズの冒険を31世紀の宇宙へと置き換えたもので、全26話が制作され、各話の放送時間は約24分です。

制作背景とコンセプト

本作の根底には、古典文学『オデュッセイア』にインスパイアされた物語が横たわっています。最初は「英雄が敵を討つことで得られるカタルシス」という日本側の理念と、「知恵と勇気はあるが英雄とは言えない人間味あふれる主人公」のフランス側の視点が交錯しました。最終的には「神話と科学が共存する世界観」で、ユリシーズと彼の仲間たちの冒険を描く方向性にまとまりました。

また、キャラクターデザインにおいては、フランス側から提案された「マンガスタイル」ではなく、日本側の「劇画風」に決定し、そこから制作が開始されました。具体的には、両国の制作チームがシノプシス（概要）を共有し、日本側が脚本や絵コンテを作成しつつフランス側がそのチェックを行い、日本での作画と音響、音楽制作の後、フランスでダビングが行われるという流れです。残念なことに、1980年11月に長浜忠夫氏が急逝し、その後は作画監督の荒木伸吾氏らが引き継ぎ、作品を完成に導きました。

デザインとメカニック

この作品に登場するメカニックデザインは、映画『2001年宇宙の旅』から飲まれた影響が色濃く見受けられます。特に、主人公が操る宇宙船オデッセイ号はFR3のロゴマークからインスパイアを受けたものです。さらに、3つの機体が合体して一つの艦艇となる「ナベット号」のデザインは、当時ポピーに所属していた村上克司氏によって手掛けられました。

各国での放送

本作は1981年10月3日からフランスのFR3で放送され、主題歌は115万枚のレコード売上を記録し、歴代56位の人気を誇りました。また、放送当時に販売された関連おもちゃは日本円で約5億円の売上を達成し、評価も高かったとされています。

日本では、1986年にはOVA版として前半12話が発表された後、1988年2月からテレビアニメとして放送が開始されました。本作は名古屋テレビが制作した唯一の例であり、その後も何度か放送されています。1991年にはキャストを一新して全26話がNHK衛星第2で放送され、2007年にもカートゥーンネットワークで再放送されました。

フランス、日本以外にも、1980年代に様々な国で放送され、各国ごとに異なるタイトルが付けられました。ドイツでは「Odysseus 31」、イタリアでは「Ulisse 31」、スペインでは「Ulises 31」、イギリスでは「Ulysses 31」として知られています。

音楽と主題歌

音楽面では、フランス語版での制作や、日本版のオープニングテーマ「銀河伝説オデッセイ」やエンディングテーマ「愛・時の彼方に」など、各国仕様に応じた楽曲が存在します。特にフランス版の主題歌は、各言語で歌われる形でアダプトされ、広く親しまれています。

『宇宙伝説ユリシーズ31』は、文化を超えた共同制作の成功例であり、今もなお多くのファンに愛され続けている作品です。

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