村上克司

村上克司：玩具デザイン界の巨匠

村上克司（むらかみ かつし）は、1942年生まれの日本の玩具工業デザイナーです。バンダイ（旧ポピー）で数多くのヒット商品を生み出し、日本の玩具業界、特に男児向け玩具の発展に大きく貢献しました。

生い立ちとバンダイ入社

幼少期から絵を描くことを得意とし、手塚治虫や小松崎茂といった漫画家から影響を受けました。工業デザイナーを目指し、岐阜県立岐山高等学校を卒業後、美大進学を諦めバンダイに入社します。当初は営業部に配属され、工場や返品係など様々な業務を経験する中で、玩具作りの基礎を学びました。

ポピー時代と数々のヒット商品

1971年にバンダイを退社しフリーランスのデザイナーとして活動後、1973年にポピー（バンダイの子会社）に入社。ここで、村上の才能は開花します。

超合金シリーズの第1号である『超合金マジンガーZ』を発案したことで、「超合金の生みの親」として知られるようになりました。その他にも、ポピニカ、マシンロボ、タマゴラス、TOKIMAなど、玩具史に残る数々の名作を世に送り出しました。

『超電磁ロボ コン・バトラーV』以降は、キャラクターデザインも手掛けるようになり、大河原邦男らと共に「メカデザイナー」としてもアニメファンに広く認知されるようになりました。

プレックス設立とバンダイへの貢献

1981年には、玩具デザイン集団の必要性を提唱し、プレックス（旧ポピー企画室）を発足させました。プレックスは、マシンロボシリーズや平成ウルトラシリーズ、スーパー戦隊シリーズなど、数々の人気シリーズのデザインを手がけています。

ポピーがバンダイに吸収合併された後も、ボーイズトイ事業部において男児向け玩具の開発に尽力し、1984年にはバンダイの専務取締役に就任。1997年に退社するまで、バンダイの玩具事業を支え続けました。

バンダイ退社後

バンダイ退社後は、ライブ・ワークスを設立し、代表取締役として活動しています。また、2007年には『獣装機攻ダンクーガノヴァ』のコンセプトデザインを担当するなど、現在もデザイナーとして活躍しています。

2009年には自伝『超合金の男 -村上克司伝-』を出版し、2017年にはデザインワーク集『オール・アバウト村上克司』が出版されました。

デザインの特徴と影響

村上のデザインは、アニメや特撮作品に大きな影響を与え、「玩具メーカー主導のアニメ・特撮番組制作」という現在の制作体制を確立した第一人者とも言われています。

スーパー戦隊シリーズの黒ゴーグル付きヘルメットマスクや巨大ロボット、メタルヒーローシリーズのデザインなど、数々の特徴的なデザインを生み出しました。特に、メタルヒーローシリーズの「ゴーグルの下に目がある」デザインは、「強面だが実は優しい」というキャラクター性を表現する上で、重要な要素となりました。

ライオンをモチーフにしたデザインも多く、『大鉄人17』、『スパイダーマン (東映)』、『未来ロボ ダルタニアス』などにその影響が見られます。また、『勇者ライディーン』のゴッドバードや『六神合体ゴッドマーズ』の各ロボットなど、神々をモチーフにしたデザインも多く、後のスーパー戦隊シリーズなどの東映作品に登場するメカデザインの源流となりました。

既成概念にとらわれない自由な発想で、『マシンロボ』の路線変更や『仮面ライダーBLACK RX』でのバイク以外の乗り物の導入など、新たな試みも積極的に行いました。

受賞歴

1984年には、自身が開発・デザインした『タマゴラス』がグッドデザイン賞を受賞しました。

村上克司は、日本の玩具業界、特に男児向け玩具の発展に大きく貢献した、まさに「玩具デザイン界の巨匠」と言えるでしょう。

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