宇宙戦争 (1953年の映画)

1953年版『宇宙戦争』：地球侵略と人類の抵抗を描いたSFスペクタクル

1953年公開のアメリカ映画『宇宙戦争』(The War of the Worlds)は、H・G・ウェルズの同名SF小説を映画化した作品です。ジョージ・パル製作、バイロン・ハスキン監督のもと、ジーン・バリーとアン・ロビンソンらが出演。第26回アカデミー賞では特殊効果賞を受賞、編集賞と録音賞にもノミネートされ、さらにヒューゴー賞映像部門も受賞するなど高い評価を得ました。

緊迫感あふれるストーリー：火星からの侵略

物語は、カリフォルニア州の小さな町に巨大な物体が落下するところから始まります。調査に乗り出した科学者クレイトン・フォレスター博士は、シルビア・ヴァン・ビューレンとコリンズ牧師と出会います。やがて、物体から火星人の宇宙船が出現、人類への攻撃を開始します。圧倒的な軍事力を持つ火星人の兵器の前に、アメリカ軍は壊滅的な打撃を受けます。

フォレスター博士とシルビアは、小型飛行機で逃亡を試みますが、不時着。無人農家に身を潜めますが、再び火星人の襲撃に遭います。博士は機転を利かせ、火星人の機械を破壊。辛くも脱出を果たします。しかし、世界各地では火星人の侵略が続き、主要都市は次々と陥落していきます。

人類は、火星人の圧倒的な力に抗し、最終兵器である原子爆弾の使用に踏み切りますが、効果はありません。絶望的な状況の中、ロサンゼルスは陥落寸前に。フォレスター博士とシルビアは、人々とともに避難を試みますが、離れ離れになってしまいます。

博士はシルビアを探し続け、教会で彼女と再会します。その時、突如火星人の宇宙船は機能を停止し、墜落。人類は、火星人が地球の大気中のバクテリアに抵抗力がなかったことから、奇跡的に危機を脱したことを知ります。

50年代SF映画の金字塔：時代を超えた魅力

本作は、原作小説を基にしながらも、時代背景や舞台を19世紀末のイギリスから1950年代のアメリカに移し、火星人の兵器も原作の三脚型機械から円盤型宇宙船に変更するなど、大胆なアレンジが施されています。

特撮は、アカデミー賞特殊効果賞受賞者であるゴードン・ジェニングスやファーシオット・エドゥアートらによって制作され、その高いクオリティは高く評価されています。特に、火星人の宇宙船のデザインは、美術担当の日系人アルバート・ノザキによるものです。

主演のジーン・バリーは、後のテレビシリーズ『バークにまかせろ』で知られる俳優です。また、バリーとアン・ロビンソンは、2005年のスピルバーグ版『宇宙戦争』にもカメオ出演しています。

批評家の評価とその後

Rotten Tomatoesでは、批評家から高い評価を得ており、その高い評価は、時代を感じさせる部分もあるものの、ウェルズの古典的SF物語を冷戦時代の文脈に更新し、1950年代映画の中でも最高峰の特殊効果を誇る点に由来しています。

1988年には、テレビシリーズ『新・宇宙戦争』（別タイトル『エイリアン・ウォーズ』）が制作され、本作の続編として放送されました。

『宇宙戦争』は、高度な特殊効果と緊迫感あふれるストーリーで、50年代SF映画の金字塔として、現在も高い評価を受け続けています。火星人の侵略というスリリングな展開と、人類の知恵と勇気を描いたこの作品は、時代を超えて多くの人々を魅了し続けています。

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