宇宙状況認識

宇宙状況認識（SSA）とは

宇宙状況認識（Space Situational Awareness：SSA）または宇宙領域認識（Space Domain Awareness：SDA）とは、宇宙空間の安定的な利用を目的として、人工衛星やスペースデブリなどの軌道上にある物体を観測し、把握・認識する活動を指します。

概要

現代社会において、人工衛星は測位、通信、放送、偵察、気象観測など、多岐にわたる分野で活用されており、人々の生活や経済活動、さらには軍事行動においても不可欠な存在となっています。しかし、衛星軌道上には、運用中の人工衛星だけでなく、衝突すると衛星の機能を損なう可能性のあるスペースデブリも多数存在しています。さらに、人工衛星の増加に伴い、スペースデブリの数も増加傾向にあります。

このような状況から、スペースデブリとの衝突リスクを回避するために、宇宙空間に存在する物体を正確に把握・認識する宇宙状況認識の重要性が高まっています。宇宙空間の安全な利用を確保するためには、宇宙状況認識が不可欠であると言えるでしょう。

各国の取り組み

アメリカ軍は1959年から衛星軌道上の物体の監視を開始し、2010年には宇宙配備型の宇宙監視衛星を打ち上げるなど、継続的に宇宙空間の監視を行っています。宇宙状況認識の分野においては、長年の実績と技術力を有していると言えます。

人工衛星の数が増加し、その重要性が増すにつれて、宇宙状況認識における国際協力の必要性が認識されるようになりました。日本も、宇宙基本計画に基づき、2022年度までに低軌道観測用レーダー、静止軌道観測用光学望遠鏡、および情報解析システムの整備・機能向上を進めています。また、防衛省・自衛隊においても、静止軌道観測用レーダーの整備や、宇宙作戦隊の新編を計画しています。これは、日本が宇宙状況認識能力の獲得に向けて、本格的な取り組みを開始したことを示しています。

ヨーロッパにおいても、欧州宇宙機関（ESA）が宇宙状況認識プログラム（Space Situational Awareness Programme）を推進しています。このプログラムを通じて、ヨーロッパ各国が宇宙状況認識の能力向上に努めています。

まとめ

宇宙状況認識は、宇宙空間の持続可能な利用を支える上で、非常に重要な活動です。今後も、国際協力を含めた宇宙状況認識の取り組みが、さらに強化されていくことが期待されます。

関連項目

ケスラーシンドローム

外部リンク

SPACE SITUATIONAL AWARENESS アメリカ空軍のドクトリン
* Space Situational Awareness アメリカ空軍大学のレポート

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