宇宙船XL-5

宇宙船XL-5

『宇宙船XL-5』（原題：FIREBALL XL5）は1962年にイギリスで制作された特撮人形劇で、ジェリー・アンダーソンが手掛けた作品です。本作は、SF特撮の新しい試みがふんだんに盛り込まれたもので、彼の代表作の一つとして高い評価を受けています。この物語は、宇宙を舞台にした冒険を描いており、前作『スーパーカー』に続く形で製作されました。

作品の概要

『宇宙船XL-5』は「スーパーマリオネーション」と呼ばれる技術を用いて制作され、キャラクターたちが人形で表現されています。物語は、異星人との出会いや宇宙探査をテーマとしており、登場する宇宙船は独特なデザインとなっています。本作では、同型船が複数存在する設定になっているため、各エピソードにおいて新しい冒険が展開されることが期待されました。また、地球から発進する様子や惑星に着陸するシーンには丁寧な演出が施されています。

日本での放送

本作は、日本でも放送され、1963年4月5日から同年12月27日にかけてフジテレビで放送されました。田辺製薬が一社提供し、番組には「宇宙で生きぬこう」という副題も付けられました。この副題は、当時の田辺製薬のキャッチフレーズを参考にしたものです。

放送初期のエピソードではナレーションがありませんでしたが、第12話からは谷啓がナレーターとして参加し、番組のタイトルは『谷啓の宇宙冒険』に改訂されました。日本語版では、オープニングや声優の変更が行われ、ナレーターの登場が特徴的です。こうした変更は、以降のアンダーソン作品にも引き継がれています。

その後、1964年には再放送が行われましたが、放送に使用されたフィルムは失われてしまい、一部エピソードが字幕版としてソフト化されています。2017年には動画配信サービスで全話が日本語字幕で配信され、2020年にはテレビでも日本語字幕版が放送されました。

登場人物とキャスト

物語には様々なキャラクターが登場し、日本語吹き替え版では巷で知られる声優たちがその役を演じました。以下に主なキャラクターを紹介します。

• - スティーヴ・ゾディアック大佐：主人公でスタイリッシュなパイロット。声は中野誠也から金内吉男に置き換えられました。
• - ビーナス：スティーヴの相棒であり、医療担当のヒロイン。声はシルヴィア・アンダーソンから向井真理子に変更されました。
• - マシュウ・マット・マティック教授：メカや科学に精通する博士。声は袋正から大塚周夫に交替。
• - ロバート：キャラクターとして重要な役割を果たすロボット。声はジェリー・アンダーソンから太田淑子に変更されました。
• - ズーニー：猿に似た宇宙生物。担当声優は不明。
• - ゼロ司令官：本部で指揮する役割の司令官。声は山崎直衛から池田忠夫に変更されました。
• - ナレーター：第12話から谷啓が担当。

登場メカ

『宇宙船XL-5』の中心的な存在である宇宙船XL-5号は、様々な異星を探査するために設計されています。発進時は地球の基地から補助ロケットを使い、特有の滑走運転を行います。機体の一部はXLジュニアと呼ばれ、着陸シャトルとしても機能します。乗員は固形酸素を摂取することで宇宙服を必要とせず、宇宙空間でも活動できるという設定が魅力的です。

このように、『宇宙船XL-5』は特撮人形劇としての革新性を持ち、視聴者に夢のある宇宙冒険を提供しました。今なお多くのファンに愛されている作品です。

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