宇宙課々付エヴァ・レディ

宇宙課々付エヴァ・レディ

『宇宙課々付エヴァ・レディ』（うちゅうかかつきエヴァ・レディ）は、漫画家・御米椎（おこめ しい）による日本の近未来SF漫画作品です。本作は、1992年から1995年にかけて、竹書房が刊行していた漫画雑誌『コミックガンマ』に連載されました。単行本は全2巻が発売されています。

単行本は現在絶版となっていますが、2011年10月からは、絶版となった漫画作品を権利者の許諾を得た上で無料公開しているウェブサイト、『マンガ図書館Z』にて全編を読むことができるようになっています。

物語の概要

物語は、常温核融合技術が実用化され、SEV（地面効果翼機）による定期的な交通網が整備されるなど、現代よりも進んだ技術が実現された近未来を舞台としています。

主人公は、特殊機械メーカーである逓淑総合特機株式会社（ていしゅくそうごうとっきかぶしきがいしゃ）の宇宙課に勤務する、数明由雁（カズアキユカリ）という女性です。彼女の役職は「評価員（エバリュエーター）」であり、会社の開発する宇宙関連製品などの性能評価や実験を担当しています。

そんなある日、由雁は社内報を通じて、国際的な一大プロジェクトである火星有人飛行国際共同計画、通称「パーシバルプロジェクト」の乗組員募集が行われていることを知ります。これを自身の新たな目標、そして宇宙へ行くという長年の夢を実現する機会と捉えた由雁は、パーシバルプロジェクトへの参加を目指すことを決意します。

物語は、火星への切符を手に入れることを夢見る由雁が、宇宙課の評価員としての日々の業務に追われる中で展開していきます。彼女は、所属部署が開発する様々な特殊機械の実験や評価に奔走し、予期せぬトラブルや問題解決に日々取り組まなければなりません。時に製品の性能に振り回され、予期せぬ事態に見舞われながらも、由雁は困難を乗り越え、夢への一歩を踏み出すために奮闘を続けます。

作中の世界設定

本作が描く近未来世界には、いくつかの特徴的な技術や設定が見られます。

前述した常温核融合の実用化やSEV定期航路のほか、現実世界では試作機に留まったアメリカのステルス戦闘機YF-23が、この物語世界ではF-23EJという名称で日本の航空自衛隊に正式採用され、配備されているといった設定も盛り込まれています。

主人公が勤める逓淑総合特機株式会社は、日本の大手特殊機械製造メーカーとして描かれています。社内には、主人公が所属する宇宙機産業を主体とした「宇宙課」のほか、自立型掃海機などの防衛装備を手がける「防衛課」、そして物語の展開の中で閉鎖されることになる「航空課」など、様々な部門が存在し、多岐にわたる分野の製品開発を行っている企業として設定されています。

これらのリアリティとフィクションが混ざり合った世界観の中で、主人公・数明由雁の夢に向けた挑戦が描かれていきます。

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