宇梶静江

宇梶静江のプロフィール

基本情報
宇梶静江（うかじ しずえ）は、日本の詩人、古布絵作家、および絵本作家であり、アイヌ解放運動にも積極的に関わっている女性です。彼女は1933年に北海道浦河町で生まれ、現在も白老町に在住しています。

生い立ち

宇梶は、アイヌと和人が混住する集落で生まれました。四男二女のうちの三番目の子どもとして誕生した彼女は、幼少期に深刻な貧困に苦しみ、周囲の和人の子供たちから差別を受けました。「毛深い」という理由でのいじめに耐えかねてまつ毛を自ら切り落としたこともあるほどです。このような経験から、彼女は自身のアイヌとしての出自に対して嫌悪感を抱き、アイヌ同士で結婚することに不安も感じていました。

教育と初期の活動

中学校に進学することはできませんでしたが、20歳で札幌市内の私立中学に入学し、3年かけて卒業しました。その後、アイヌであることを隠しながら東京に移住し、27歳で和人の建築家と結婚し、二人の子どもを持つことになります。

詩作とアイヌ解放運動

日本が高度成長期を迎える中で、宇梶は詩作を始め、1966年からは詩人会議に参加して作品を発表しました。1972年には朝日新聞の「ひととき欄」に投稿した文章が大きな反響を呼び、翌年には東京ウタリ会を設立し、その初代会長に就任しました。彼女の活動は東京都議会にも影響を及ぼし、東京在住のアイヌ民族の生活実態を調査した結果、新宿職業安定所にアイヌ相談員を設置することが実現しました。

海外交流と文化活動

宇梶はまた、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、ロシアなどの先住民とも交流を持ち、アイヌ文化の普及に努めました。60代でアイヌの布絵に出会い、古布絵の創作活動を本格化させました。1996年からはアイヌ刺繍を学び始め、2004年にはアイヌ文化奨励賞を受賞。

芸術的活動

2011年には古布絵作家として吉川英治文化賞を受賞し、その後も多くの作品を発表しました。2005年からは千葉県君津市で「カムイミンタラ」を主宰し、アイヌ文化の普及に貢献しています。さらに、2008年にはアイヌモシリ2008に共同代表として参加するなど、全国的な活動も行っています。

映画制作と受賞歴

2007年からはアイヌに関する映画製作を呼びかけ、2010年にはドキュメンタリー映画「TOKYO アイヌ」が完成しました。これにより、彼女の活動は更なる注目を集めました。2020年には後藤新平賞、2023年には北海道文化賞を受賞しています。

家族

家族には、俳優の長男宇梶剛士と、実弟の浦川治造がいます。彼女の活動と作品は、アイヌ文化を広く知ってもらうための大切な礎となっています。

作品

宇梶静江の著書には、以下のようなものがあります。

• - 『アイヌの治造物語―思いはこずえからこずえにつなげて』 (2006年)
• - 『すべてを明日の糧として―今こそ、アイヌの知恵と勇気を』 (2011年)
• - 『大地よ!　アイヌの母神、宇梶静江自伝』 (2020年)
• - 『アイヌ力よ！　次世代へのメッセージ』 (2022年)

彼女のストーリーは、アイヌ文化の翻訳者としての重要な役割を果たし、多くの人々にその魅力を伝えています。

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