先住民

先住民とは

先住民（せんじゅうみん）とは、ある地域に元々住んでいる人々を指し、特に外部からの侵略者や植民者とは区別されます。「原住民」という表現も見られますがこれには注意が必要です。特に歴史的には、大航海時代以降、ヨーロッパ人が南北アメリカやオセアニア地域で出会った民族を指す事が多いです。

名称と定義

先住民については言語によっても呼び名が異なります。例えば、英語では「Indigenous peoples」と呼ばれることが多く、「民族」という概念が強調されていますが、その定義には多様性があるため、注意が必要です。
日本語では、従来あった「土人」や「原住民」といった用語が差別的に受け止められることがあるため、より中立的な表現として「先住民」が使われるようになっています。台湾においては、現地の呼称を尊重し、「原住民」という言葉も使用されます。

また、中国語では「先住民」という表現は使われず、「原住民」という用語が用いられています。漢字表記は「土著」であり、これは日本語の「土着」や「土民」に相当します。

歴史

先住民の歴史は複雑で、多くの場合、国家形成の過程で従属を強いられることがありました。例えば、疫病の蔓延や奴隷化、さらには虐殺といった形で多くの先住民の集団が弱体化しました。彼らの中には、かつて国家を持っていたり、繁栄していた民族（チャム族など）や、他族を支配していた歴史を持つもの（満洲民族）が存在します。そのため、彼らの文化は従来「未開」や「野蛮」として否定的に扱われがちでしたが、最近ではその尊厳や文化の継承・再生に対する評価も高まっています。

南北アメリカにおける先住民は、一般的にエスキモーを除いて「インディアン」や「インディオ」と呼ばれます。ここで注意が必要なのは、これらの名称が本来はインド人を指している点です。クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した際、インドと誤解した結果、先住民にこの名称が使われるようになりました。先住民の各文化には自決名が存在しないため、今日では彼ら自身が「インディアン」や「インディオ」を使用することもあります。

国連による活動

国際連合は1994年より毎年8月9日を『先住民の日』と定めており、先住民族の権利に関する宣言を2007年に採択しました。この取り組みは先住民の権利を世界規模で認識し、保護するための重要な一歩となっています。

孤立先住民居住地の保護

例えば、インドではアンダマン・ニコバル諸島に住むセンチネル族が外部との接触を避けており、インド政府は彼らの居住地を保護するために特定の島へのアクセスを禁止しています。ブラジルにおいても、アマゾン川上流域において外部との交流を持たない部族のために居住区域が設定されています。

まとめ

先住民の存在は、文化や歴史の証として重要です。彼らの権利と文化の保護が求められる中、国際社会はこれらの問題に対してますます注目を寄せています。

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