宇治田省三

宇治田省三：和歌山市政に尽くした「カラテ市長」

宇治田省三（うじた しょうぞう）は、1917年1月3日に生まれ、1989年6月11日に没した日本の政治家です。彼は和歌山市長として、長年にわたり市政の発展に大きく貢献しました。その功績から、1986年には和歌山市名誉市民に選ばれ、2003年には偉人顕彰が行われるなど、没後もその名が語り継がれています。

生涯

宇治田省三は、現在の和歌山市にあたる海草郡湊村で、宇治田増蔵の次男として生を受けました。旧制和歌山県立海草中学校（現在の和歌山県立向陽高等学校）を経て、立命館大学法文学部経済学科を卒業。1946年からは拳武館空手道場を経営し、武道家としての顔も持っていました。

1951年4月には和歌山市議会議員に初当選し、政治家としてのキャリアをスタートさせます。1959年4月には和歌山県議会議員（和歌山市選挙区）に選出され、県議会議員時代には総務委員長や自民クラブ副幹事長などを歴任しました。

1966年6月、高垣善一市長の死去に伴い、和歌山市長選挙に出馬するため県議会議員を辞職。同年7月17日に行われた市長選では、自由民主党の公認を受けて見事当選を果たしました。市長在任中は、「（人口）50万和歌山市の建設」を目標とした長期総合開発計画を策定し、市政の発展に尽力。自由民主党和歌山県連の副支部長としても党務に貢献しました。

1986年6月の市長選では6選を目指しましたが、当時41歳の旅田卓宗に敗れました。しかし、その長年の功績が認められ、同年には和歌山市名誉市民の称号を受けています。

1989年6月11日、宇治田省三は急性心不全のため、和歌山市土入の西和歌山病院で生涯を閉じました。享年72歳。生前の功績により、従四位が追贈されています。

市長としての業績

宇治田省三は、和歌山市長として、教育環境の整備と都市環境の整備に特に力を注ぎました。

教育環境の整備

市立保育園・小中高等学校の増改築や、市内全校へのプール設置を推進しました。また、市民体育館、河南体育館、松下体育館、市民スポーツ広場などを建設し、市民のスポーツ振興にも貢献。さらに、市民会館、市民図書館、市立博物館、市立こども科学館、発明館といった文化施設を建設し、計画的な文化ゾーンの形成を市民の協力のもとで進めました。

都市環境の整備

浄水場などを完成させ、上水道の安定供給を実現するとともに、渇水期にも対応可能な水道体制を確立しました。公共下水道の一部共用を開始し、都市の衛生環境を改善。ごみ処理施設として青岸エネルギーセンターを完成させ、廃棄物の増加に対応するため、余熱利用による発電も開始しました。

都市基盤の整備

JR和歌山駅（東和歌山駅から改称）の西口駅前広場を拡張し、駅と駅前を結ぶ連絡地下道を建設。土地区画整理事業に着手し、当時は田園地帯であった現在の和歌山駅東口周辺を整備しました。高度経済成長期の住宅難に対応するため、向、岡崎、紀和駅、菖蒲ヶ丘団地をはじめとする市営住宅を次々と建設し、市民の住環境改善に大きく貢献しました。

宇治田省三は、「カラテ市長」として親しまれ、そのリーダーシップと実行力で和歌山市の発展に大きく貢献した人物として、今もなお市民に敬愛されています。

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