宇津峠

宇津峠（うつとうげ）

概要

宇津峠は、山形県西置賜郡の小国町と飯豊町にまたがる峠です。この地域における重要な交通路として、国道113号およびJR東日本米坂線が峠付近を経由しています。標高は390メートルで、古くから山間部を越えるための要衝となってきました。

なお、この山形県の峠のほかにも、静岡県浜松市など日本国内には同名の「宇津峠」が存在します。

国道113号の現道

現在、国道113号として主に利用されているのは現道ルートです。この道は、羽前沼沢の集落を出発し、まず間瀬川に沿って標高を上げていきます。山中に入ると、遅越トンネルを抜け、続いて間瀬橋を渡ります。間瀬橋の先でかつての旧道と分かれた現道は、新たな経路を進み、重要な構造物である新宇津トンネルを通過します。この新宇津トンネルは、旧峠の直下を貫通することで、かつての急峻な道を大幅に改良しています。トンネルを抜けた後は、落合橋や宇津川橋といった橋梁を渡りながら標高を下げ、最終的に飯豊町側の手ノ子集落へと接続します。現道は、山形県と新潟県を結ぶ国道113号の主要な幹線道路としての役割を果たしています。

旧道について

現在の国道が開通する以前に主要な交通路として使われていたのが旧道です。旧道は、間瀬橋を渡った先で現道から分岐し、独自のルートをたどります。この旧道の重要な要素は宇津トンネルです。かつてはこのトンネルが峠越えの中心でした。旧道は宇津トンネルを抜けた後、手ノ子集落の手前で再び現道と合流する経路でした。しかし、新宇津トンネルの開通などにより、旧道はその役割を終えました。現在、宇津トンネルを含む旧道の一部区間は通行止めとなっており、車両や歩行者の通行はできません。

さらに古い道

宇津峠には、現在の旧道が整備されるよりもさらに古い時代の峠道も存在します。この道は、明治期に山形県令を務めた三島通庸によって開削された歴史を持つと伝えられています。三島通庸は明治政府の下で道路整備に力を入れた人物です。この古い道は、近代的な道路が整備される以前の峠越えのルートであり、当時の交通技術や人々の往来を知る手がかりとなります。現在の国道や旧道とは異なる経路をたどっていたと考えられています。

このように宇津峠は、時代の変化に合わせてその交通路が改められてきましたが、長きにわたりこの地域の重要な結び目としての役割を担ってきた峠です。

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