宇都宮の歌

宇都宮の歌（うつのみやのうた）

「宇都宮の歌」は、栃木県宇都宮市によって公式に定められた市歌です。著名な詩人である西條八十が作詞を手がけ、多くの名曲を生み出した作曲家・古賀政男がメロディーを付けました。

制定の背景と目的

この市歌は、宇都宮市が1956年（昭和31年）に迎えた市制施行60周年を記念する事業の一環として計画されました。当時の宇都宮市教育委員会と宇都宮商工会議所が共同で、新たな市歌と併せて市民音頭を制定する構想を進めました。市歌の制定にあたっては、「歌が市民に広く愛唱されることを通じて、郷土への愛情や市民同士の絆、一体感を育み、それがまちづくりの原動力となることを目指す」という明確な意義が込められています。

多くの自治体歌で採用されることの多い歌詞の公募方式は取られず、市歌と市民音頭のいずれも、当時主要なレコード会社であった日本コロムビアへ制作が委嘱されました。そして、同年11月17日付けで、市歌としての制定が正式に告示されました。

音源化と普及

日本コロムビアでは、市歌制定に合わせてレコード盤を制作・販売しました。制定当時に製造されたSPレコード盤（規格品番：PR1633）では、A面に岡本敦郎と安西愛子が歌う「宇都宮の歌」が、B面には島倉千代子と山中ひろしが歌唱する「宇都宮音頭」（作詞：野村俊夫、作曲：船村徹）がそれぞれ収録されました。その後、1979年（昭和54年）には、これらの音源を収録した同内容のシングルレコード盤（規格品番：PRE-1479-CP）が再発売されています。

現在、「宇都宮の歌」は様々な場面で市民に親しまれています。宇都宮市役所では、毎日午後3時の庁内放送で市歌が演奏されており、市民に時を知らせるとともに、歌の存在を意識させる機会となっています。また、市内の全ての小・中学校には市歌のCDが配布されており、児童や生徒たちに対する歌唱指導が熱心に行われるなど、未来を担う世代への普及活動も積極的に展開されています。

合併時の扱い

2000年代に進められた平成の大合併において、宇都宮市は隣接する河内郡河内町と上河内町を編入合併しました。合併した両町では、市歌のような公式な歌は制定されておらず、それぞれに町民音頭があるのみでした。宇都宮市と両町の間で設置された宇都宮地域合併協議会における協議では、合併後の歌に関する取り決めとして、旧河内町と旧上河内町の町民音頭はそれぞれの地域で引き続き継承することを認めつつ、市全体の歌としては「宇都宮市の制度に統一する」、つまり「宇都宮の歌」を市歌として継続使用することが決定されました。この決定に基づき、合併後も変わらず「宇都宮の歌」が宇都宮市の公式な市歌として歌い継がれています。

このように、「宇都宮の歌」は、その制定意義の通り、世代を超えて宇都宮市民の心に響き、郷土への愛着や一体感を育む大切な存在として、今日まで歌い継がれています。

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