宇都宮国綱

宇都宮 国綱の生涯

宇都宮国綱（うつのみや くにつな）は、戦国時代における下野国の戦国大名であり、宇都宮家の最後の当主としてその名を知られています。彼は、1576年8月7日、父である広綱の死去を受けて宇都宮氏22代目の当主として権力を継承しました。しかし、彼が当主となった当時は若年であったため、国内の反対勢力、特に壬生氏や皆川氏が活動を活発化させており、さらに後北条氏の侵攻が過激化するという厳しい情勢に直面しました。

国綱はこの困難な状況に対抗するため、常陸国の佐竹氏や下総国の結城氏、甲斐国の武田勝頼、さらには尾張の織田信長や豊臣秀吉といった強力な同盟者を求めました。天正12年（1584年）には沼尻の合戦に参加し、引き分けに持ち込みましたが、その後の戦後処理において佐竹氏の離反問題に優先的に対処していたため、壬生氏や皆川氏の離反が進み、やがて他の氏族も後北条氏に味方する事態となり、宇都宮家の地盤は崩れていきました。

翌年、天正13年には薄葉ヶ原の戦いが勃発し、宇都宮家は那須氏に敗北しました。これにより、宇都宮城の防衛が困難な状況に陥り、国綱は平城である宇都宮城から山城の多気城へと拠点を移さざるを得ませんでした。情勢が厳しさを増す中、彼は秀吉の出陣を願い防戦の策を講じるしかありませんでした。

1590年、国綱は秀吉の小田原征伐に参加し、戦後には下野国における18万石の所領を保護されました。彼はその後も秀吉に従い、九戸政実の乱や文禄の役などに参加しました。このように、国綱の活動は一時期、宇都宮家の盛り返しを暗示していましたが、事情は急転しました。

慶長2年のこと、国綱は突如、秀吉の命により改易されました。この決定には様々な要因が絡んでおり、特に彼の継嗣がいなかったことが一因とされています。国綱は浅野長政の三男・長重を養子として迎えようとしましたが、国綱の弟である芳賀高武がこれに激しく反対し、事態は一層複雑化しました。この一連の出来事によって國綱は改易され、その後は宇都宮を追放されて備前国の宇喜多秀家の下に身を寄せました。秀吉は「朝鮮での戦功次第では再興を許す」という言葉を国綱にかけましたが、その期待は秀吉の死によって潰えました。

再興を果たすことができなかった国綱は、彼の運命を辿ることになる息子の義綱を残し、歴史の影に消えていきます。国綱の妻である小少将は、その後徳川和子の乳母となり、太平の世へと進む中で家名を引き継いでいくこととなります。

国綱の晩年は波乱に満ちており、彼はその後、流浪の身となったのち、1607年には江戸の浅草にて病死したとされています。享年40という若さでしたが、彼の存命中の出来事や家族関係、側近との確執が彼の運命を大きく左右したと言えるでしょう。

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