守屋源次郎

守屋源次郎：官僚、教育者、そして茨城県知事

守屋源次郎(1877年-1939年)は、明治から昭和初期にかけて日本の行政と教育に貢献した人物です。京都府出身で、東京帝国大学法科大学政治学科を卒業後、華々しいキャリアを積みました。

官僚としての経歴: まずは、大蔵省に入省し、専売局や大蔵属として勤務。その後、文部省の在外留学生としてヨーロッパに留学し、経済学を3年間研鑽しました。帰国後は長崎高等商業学校教授を経て、文官高等試験行政科に合格。外務省参事官として政務局に勤務した後、鉄道院総裁秘書兼参事官を歴任しました。

茨城県知事時代: 1919年9月、守屋は茨城県内務部長に就任。翌年の衆議院議員総選挙では、当時の知事と共に政友会の勝利に貢献し、その功績から1921年5月、茨城県知事に昇格しました。知事としての在任期間中、守屋は積極的な県政運営で知られました。

積極的な県政運営: まず、当時盛んだった大正自由教育運動に反対し、県政の立場から圧力を加えました。また、県会議員選挙では、選挙区の再編を提案し、政友会の勝利に導くための選挙干渉を行いました。さらに、県経済の発展にも尽力しました。千波湖と江戸崎入の干拓事業、県是製糸株式会社の設立、工業試験場と繭糸市場の設置などを推進し、茨城県の近代化に大きく貢献しました。これらの政策は、茨城県の経済発展に大きな影響を与えたと言われています。

退官とその後: 1923年10月、守屋は知事を休職し、同年11月、依願免本官により退官しました。退官後は、阪和電気鉄道の顧問を務めました。

功績と評価: 守屋源次郎の経歴は、日本の近代化を支えた官僚たちの典型的なキャリアパスを示しています。大蔵省、文部省、外務省、鉄道院と、様々な官庁を経験したことは、彼の幅広い知識と行政能力を養いました。茨城県知事としては、積極的な県政運営で知られ、その功績は今も評価されています。一方で、選挙干渉などの行為は、現代の民主主義的視点からは批判の対象となる可能性があります。

参考文献:
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
* 森田美比『茨城県政と歴代知事：戦前45名の人物像』暁印書館、1991年

守屋源次郎は、近代日本の官僚、教育者として、多方面で活躍した重要な人物と言えるでしょう。彼の功績と課題は、現代社会においても、行政と政治を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

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