守屋誠司

守屋誠司（もりや せいじ）氏は、1957年に山梨県韮崎市に生まれた、日本の算数教育学者です。京都教育大学名誉教授の称号を持ち、現在は玉川大学の教授として教鞭をとっています。その研究活動は、算数教育に加えて教育工学や情報工学の視点を取り入れ、特に幼児の認知発達や情報教育の分野に貢献しています。

守屋氏の学術的なキャリアは、1980年に山梨大学教育学部を卒業したことから始まります。その後、教育における技術応用に興味を抱き、1988年に神戸大学大学院教育工学修士課程を修了。さらに研究を進め、2000年には東北大学において「幼児の迷路描き能力に関する研究」で情報工学の博士号を取得しました。この研究テーマは、後の教育活動や著作にも影響を与えています。

教職キャリアとしては、大学院修了後、1990年に山形大学教育学部の専任講師に着任し、1994年には助教授に昇任。山形大学での教育経験を経て、2001年には京都教育大学の教授となりました。京都教育大学では算数教育の中心的人物として活動し、2009年には名誉教授の称号を得ました。現在は玉川大学の教授として、通信教育などを通じて教育の普及に努めています。

守屋氏の研究は、博士論文に見られる幼児の認知発達の分析から始まり、教育工学、情報工学といった分野を算数教育に応用することに重点が置かれています。コンピュータやマルチメディアを活用した教育方法の開発、情報社会に対応できる算数教育のあり方など、常に新しい視点を取り入れた研究を展開しています。

守屋氏は、研究成果や教育実践に基づき、多くの書籍を執筆・編著しています。子ども向けの算数やコンピュータ入門書から、教育者向けの専門書まで幅広く手がけています。主な単著には、子どもが楽しみながら学べるように工夫された『算数であそぼう』シリーズの一部や、初期のコンピュータ入門書である『パソコン・スポーツランド』、子ども向けのウィンドウズ操作を解説した『ようこそマルチメディアへ』などがあります。

共著や共編著も多数あり、他の研究者と協力して、算数教育、情報教育に関する重要な書籍を刊行しています。代表的なものとして以下の著作が挙げられます。

『ぼくらのパソコン・ライブラリー』の一つとして、鈴木正彦氏との共著で「迷路に挑戦」をテーマにしたもの。
『きみにもできるウィンドウズ』および『続きみにもできるウィンドウズ』シリーズは、複数の著者と共著で、子ども向けのパソコン操作やプログラミング、インターネット利用法などを解説。
『算数+情報教育』シリーズは、横地清氏と共編著で、算数教育における情報教育の具体的な展開方法を提示。
『こうすれば好きになるあたらしい算数』シリーズは、横地清氏監修のもと、こどもくらぶ編著、渡邉伸樹氏らと指導にあたり、小・中学校の算数の内容を楽しみながら学べるように工夫されたもの。
『算数・数学科の到達目標と学力保障』や『検定外・学力をつける算数教科書』シリーズは、横地清氏や渡邉伸樹氏らと共著・共編著で、算数・数学教育の理論や教科書のあり方について論じたもの。
その他、教育現場で役立つ教科指導法に関する『小学校指導法算数』や『小学校算数』（編著）、情報リテラシーに関する『教育現場で役立つ情報リテラシー』などがあります。

これらの著作活動を通じて、守屋氏は算数教育の実践と理論の両面に貢献し、特に情報教育との連携の重要性を広く提唱しています。その教育と研究は、今後の教育のあり方を考える上で、重要な示唆を提供しています。

守屋誠司氏は、算数教育、教育工学、情報工学といった複数の分野にまたがる専門性を活かし、日本の算数教育の発展に寄与し続けています。

もう一度検索