横地清

横地清（よこち きよし）は、1922年に生まれ、2022年にその生涯を終えた日本の著名な数学教育学者です。愛知県出身の横地は、1945年に東京文理科大学で数学を修め、教育者としての道を歩み始めました。

彼の教育者としてのキャリアは多岐にわたり、和光大学人文学部教授（1966年）、山梨大学教育学部教授（1976年）、東海大学海洋学部教授（1988年）を歴任しました。これらの大学での教鞭を通じて、次世代の教育者や研究者の育成に貢献しました。

国内のみならず、国際的な視野も持ち合わせており、北京師範大学や内蒙古師範大学の科学史研究所で客員教授を務め、海外の研究機関との交流を深めました。また、長年にわたり日本の数学教育の発展に寄与し、数学教育学会では名誉会長の任に就きました。

横地の研究および教育活動は非常に広範であり、特に幼児期の数概念形成や算数・数学の指導法、さらには数学の文化史や情報教育といった分野に深い関心を示しました。彼の主要な著作は以下の通りです。

幼児教育に関するもの：『水道方式による幼児の数の導きかた 6才では遅すぎる』、『幼児を賢く育てる法』、『幼年期の思考』など。これらの著作では、幼児期からの適切な教育の重要性や具体的な指導法を提唱しました。
算数・数学教育法：『算数科教育法』、『数学科教育法』、『子どもの認識の構造』など。教育課程における算数・数学の指導のあり方について、理論と実践の両面から深く考察しています。
数学の文化史・歴史：『数学の文化史 敦煌から斑鳩へ』、『数学文化の遍歴 絵画・彫刻の発展を追う一つの視点』、『遠近法で見る浮世絵』など。数学を単なる計算技術としてではなく、人類の文化や歴史と結びつけて捉える視点を提示しました。
コンピュータ教育：『パソコン統計実習』、『ぼくとわたしのパソコン』シリーズ、『教師のためのコンピュータ入門』など。教育現場へのコンピュータ導入が進む中で、その活用法や意義についても積極的に論じました。

これらの著作群は、彼の幅広い知的好奇心と、教育現場への深い理解を示すものです。特に、幼児期教育から大学教育、そして歴史や技術といった異分野との連携に至るまで、一貫して数学教育の可能性を探求し続けました。

横地清は、その生涯を通じて、日本の数学教育の質向上と、学ぶことの楽しさを伝えるために尽力しました。その研究成果と教育実践は、今日の数学教育にも多大な影響を与えています。数学教育学会名誉会長としての功績を含め、日本の学術界、特に教育分野における彼の貢献は計り知れません。

もう一度検索