守山恒太郎

守山恒太郎：日本の野球黎明期を彩った天才投手

守山恒太郎（もりやま つねたろう、1880年4月27日-1912年2月12日）は、東京府（現・東京都）出身の野球選手であり、日本の野球史において重要な役割を果たした人物です。第一高等学校時代には、卓越した投球術で知られ、「一高第二次黄金時代」を代表する左投手として活躍しました。

独逸学協会学校卒業後、1899年に第一高等学校へ入学した守山は、持ち前の才能と並外れた努力で頭角を現します。彼の武器は、当時としては高度な技術であったドロップボール。この球種を駆使し、数々の勝利に貢献しました。

特に有名なのは、1901年と1902年の横浜外国人チームとの対戦です。初対戦では惜しくも敗れたものの、その悔しさをバネに猛練習に励みました。その練習ぶりは尋常ではなく、制球力を上げるためレンガ塀に向かってボールを投げ込み、穴を開けるまで続けたという逸話が残っています。また、投球練習中に痛めた左肘の治療のため、桜の木に左手一本でぶら下がり、リハビリに励んだとも伝えられています。彼の献身的な練習は、同級生の間で「上野の杜にカラスの鳴かぬ日はあれど、守山の姿を運動場に見ざる日はなし」と称えられるほどでした。そして、翌年の再戦では、4対0で見事リベンジを果たしています。

第一高等学校卒業後、守山は東京帝国大学医学部へ進学し、卒業後は軍医として勤務。その後、伝染病研究所で研究活動に携わりましたが、腸チフスに感染し、1912年2月12日、31歳の若さで亡くなりました。

野球選手としての輝かしい活躍だけでなく、医師としてのキャリアも持ち合わせていた守山。短い生涯でしたが、その功績は後世に語り継がれています。1966年には、日本の野球殿堂入りを果たし、その名を残しています。

また、守山は『野球之友』（民友社、1903年）という野球に関する著書も残しており、当時の野球界の様子を知る貴重な資料となっています。彼の野球への情熱と才能は、黎明期の日本の野球界に大きな影響を与え、現在の野球の発展にも繋がる大きな功績を残したと言えるでしょう。

守山恒太郎の生涯は、類まれな才能と並々ならぬ努力、そして惜しまれつつも短い生涯という、ドラマチックな物語です。彼の物語は、日本の野球史における重要な一ページとして、これからも語り継がれていくことでしょう。

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